春先の花粉シーズンになると、くしゃみや鼻水、目のかゆみだけでなく、顔や首のかゆみ、赤み、カサつきに悩む方も少なくありません。こうした肌トラブルは、花粉が皮膚に付着して起こる炎症や、こすれ、乾燥によるバリア機能の低下などが重なって生じます。いわゆる花粉皮膚炎と呼ばれることもあり、いつもの乾燥肌や化粧品によるかぶれとは、起こる仕組みが異なることがあります。保湿だけでは改善しにくいこともあり、かゆみで掻いてしまうと炎症が強まり、さらにかゆくなる悪循環につながることもあります。
この記事では、花粉症で肌荒れが起こる原因や症状の特徴、対処法、予防法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
花粉症で肌荒れが起きるメカニズムと症状の特徴

花粉症で肌が荒れることはありますか?
はい、あります。花粉の飛散時期には、鼻や目の症状だけでなく、顔や首などの露出部を中心に肌荒れが起こることがあります。これは花粉皮膚炎として知られており、花粉症のある方は皮膚にもアレルギー反応による炎症が起こりやすくなります。特に、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の傾向がある方は、皮膚のバリア機能が弱くなっているため、花粉の影響を受けやすくなります。そのため、花粉シーズンになると、急に赤みやかゆみが強くなることも珍しくありません。鼻や目の症状が目立たなくても、皮膚症状が前面に出ることがあります。
なぜ花粉症で肌が荒れるのですか?
主な原因は、皮膚に付着した花粉に対するアレルギー反応です。バリア機能が低下した皮膚に花粉が触れると、マスト細胞などの免疫細胞が反応し、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。その結果、かゆみや赤み、炎症が起こります。さらに、鼻を何度もかむことや、目をこすることによる摩擦も、顔まわりの皮膚に負担をかけます。花粉症による不快感で睡眠が乱れたり、ストレスが強くなったりすると、皮膚の状態が整いにくくなることもあります。こうした要因が重なることで、肌荒れが起こりやすくなります。
花粉症による肌荒れの特徴を教えてください
花粉症による肌荒れは、上まぶたや頬、顎、首まわりなどの露出部に出やすいのが特徴です。症状は、乾燥して粉をふいたようなカサつきから始まり、かゆみを伴う赤みや、やや盛り上がった発疹としてみられることがあります。また、花粉の飛散量が多い日や外出した後に悪化しやすく、雨の日など花粉が少ない日は軽くなる傾向があります。このように、症状の強さが花粉の飛散状況と連動していることは、花粉が関係している可能性を考えるうえで参考になります。
花粉症の肌荒れとそうでない肌荒れはどう違いますか?
花粉症による肌荒れは、花粉の飛散時期に一致して起こりやすい点が特徴です。一般的な乾燥肌や化粧品かぶれと違って、くしゃみや水のような鼻水、鼻詰まり、目のかゆみや充血など、ほかの花粉症症状を伴うことが少なくありません。また、保湿だけでは十分によくならず、抗ヒスタミン薬の内服やステロイド外用薬など、アレルギーや炎症に対する治療で症状が和らぐことがあります。こうした経過の違いも、花粉症による肌荒れを考える手がかりになります。
花粉症で肌が荒れているときの対処法

花粉症の肌荒れは自分で治すことはできますか?
症状が軽く、乾燥や軽いかゆみが中心であればセルフケアで改善することがあります。保湿剤で皮膚のバリア機能を補い、花粉をできるだけ避けることで、症状が和らぐことがあります。ヘパリン類似物質などを含むクリームやローションを使うことも、皮膚を守るうえで役立ちます。一方で、赤みや腫れが強い場合や、我慢しにくいかゆみがある場合、掻いて傷ができている場合は、セルフケアだけでは十分でないことがあります。炎症を早めに抑えるには、適切な強さのステロイド外用薬が必要になることもあるため、無理に自分だけで対応し続けず、病院で相談することが大切です。
花粉症で肌が荒れているときは普段のスキンケアやメイクはどうすればよいですか?
肌が荒れているときは、低刺激のスキンケアと十分な保湿を基本にします。洗顔はしっかり泡立てた泡でやさしく行い、こすらないようにします。すすぎはぬるま湯で行い、洗顔後は時間を空けずに保湿剤を使います。アルコールフリーの化粧水や、ヘパリン類似物質などを含む保湿剤で、水分と油分を補うことが大切です。メイクは、炎症が強いときには最小限にとどめるのが無難です。ただし、肌の状態によっては、パウダーファンデーションなどが皮膚表面を覆い、花粉の付着を減らす助けになることもあります。刺激の少ない製品を選び、落とすときにも摩擦をできるだけ減らすようにしてください。
花粉症による肌荒れで病院を受診した方がよいケースを教えてください
かゆみが強くて眠れない場合や、顔全体が赤く腫れている場合は、早めに皮膚科などの病院を受診してください。掻きこわして汁が出ていたり、黄色いかさぶたができていたりする場合は、細菌による二次感染が加わっていることもあります。また、市販の保湿剤や抗アレルギー薬を数日使っても改善しない場合も、花粉以外の原因が隠れている可能性があります。診断をはっきりさせ、症状に合った薬を使うためにも、医師の診察を受けるようにしましょう。

