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「いきみ」や「くしゃみ」が引き金に? 「肺気胸」が起こりやすい意外な状況【医師解説】

「いきみ」や「くしゃみ」が引き金に? 「肺気胸」が起こりやすい意外な状況【医師解説】

肺気胸では、胸痛のほかにも咳や動悸、冷や汗といった症状が現れることがあります。また、運動中だけでなく、安静時や睡眠中にも発症し得るという点は、見落とされやすいポイントです。ここでは、胸痛に伴う随伴症状の詳細と、発症しやすい状況・再発リスクについて整理してお伝えします。

松本 学

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)

兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。

突然の胸痛に伴う他の症状

肺気胸のサインは胸痛だけではありません。しばしば、胸痛と同時に、あるいはそれに続いて他の複数の症状が現れます。これらの随伴症状を把握しておくことは、病状を正確に医師に伝え、迅速な診断につなげるために非常に役立ちます。

咳との関係

肺気胸の発症と咳には密接な関係があります。激しい咳をした瞬間に肺内の圧力が急上昇し、それが引き金となってブレブが破裂し、気胸を発症することがあります。また、気胸が発症した後、胸膜が刺激されることで、空咳(からぜき)が続くことも少なくありません。この咳は、するたびに胸の痛みを増強させるため、患者さんにとっては非常につらい症状となります。咳自体は風邪や気管支炎、アレルギーなど様々な原因で起こるため、咳単独で肺気胸を疑うのは困難です。しかし、「突然の胸痛」と「乾いた咳」が同時に出現した場合は、肺気胸の可能性を考慮に入れるべき重要なサインとなります。受診の際には、咳がいつから始まったか、痰は絡むか、どのような時にひどくなるかなどを具体的に医師に伝えることで、診断の精度向上に繋がります。

動悸や発汗が起こる場合

肺がしぼむことで体内に十分な酸素を取り込めなくなると、身体は代償機能として心臓の働きを活発化させます。これが動悸(どうき)の正体です。心臓は、血液中の酸素濃度が低下したことを感知し、心拍数を上げてより多くの血液を全身に送り出すことで、酸素不足を補おうとします。この状態は身体にとって大きなストレスであり、交感神経が興奮することで、冷や汗(発汗)や顔面蒼白といった症状も現れます。胸痛、息苦しさ、動悸、冷や汗といった症状が同時に現れると、心筋梗塞などの心臓疾患を疑う方が多いのも無理はありません。実際、症状だけでは鑑別が困難な場合もあり、いずれも命に関わる可能性がある状態です。複数の症状が同時に、かつ突然出現した場合は、自己判断せずに直ちに救急外来を受診するか、救急車を要請することが賢明です。

肺気胸で突然の胸痛が出やすい状況

肺気胸はいつ、どのような状況で発症しやすいのでしょうか。特定の状況が発症の引き金になることがある一方で、全く予期しないタイミングで起こることもあります。発症しやすい状況を理解することは、リスク管理の観点から有益です。

運動中や身体を動かしているとき

ウェイトリフティングで重いバーベルを持ち上げる、短距離走で全力疾走するなど、胸腔内の圧力(胸腔内圧)が急激に変動するような状況は、肺気胸の発症リスクを高める可能性があります。咳、くしゃみ、排便時のいきみ、管楽器の演奏なども、同様に胸腔内圧を上昇させるため、引き金となることがあります。スポーツ選手、特にバスケットボールやバレーボールの長身の選手に突然の胸痛が起きた場合、肺気胸が鑑別診断の上位に挙がるのはこのためです。しかし、重要なのは、肺気胸は安静時や睡眠中にも起こり得るという点です。「激しい運動はしていないから大丈夫」という考えは当てはまりません。もし身体を動かしている最中に突然の鋭い胸痛が現れ、その後安静にしても痛みが完全に消失しない場合は、肺気胸の可能性を強く疑い、医療機関を受診すべきです。

再発しやすい状況と注意点

肺気胸は再発率が高い疾患として知られています。特に、初回の自然気胸を発症した後、治療を受けた方の約30~50%が再発を経験すると言われています。再発の根本的な原因は、気胸の原因となったブレブが肺に残っているためです。日常生活で特に注意すべきなのは、気圧が大きく変化する環境です。例えば、飛行機への搭乗、スキューバダイビング、高山への登山などは、肺に残存するブレブを膨張させ、破裂させるリスクを高めるため、医師から制限される場合があります。また、喫煙はブレブの形成を促進し、肺の組織を脆弱にすることが知られており、気胸の最大の危険因子の一つです。禁煙は、再発予防において最も重要かつ効果的な取り組みです。再発を繰り返す場合には、胸腔鏡下手術(VATS)によってブレブを切除するなどの根治的治療が検討されます。治療後の生活上の注意点については、必ず担当医に具体的な内容を確認し、その指示に従うことが大切です。

配信元: Medical DOC

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