10数年前、私は営業マンとして全国を飛び回っていました。山梨にも取引先があり、甲府には2カ月に1度のペースで訪れていました。そこで思いがけない出来事に遭遇したのです。
私が…パパ!?
その日、部下と甲府での仕事を終え、午後2時ごろに少し遅めの昼食をとりました。最寄り駅で帰りの電車を待っていると、3歳くらいの愛くるしい女の子が駅構内を走り回っていたのです。そのかわいらしさに、周囲の人たちも自然と笑顔になっていました。
そのときです。私と女の子の視線が合った瞬間、思いも寄らないことが起こりました。「パパ!」と、その子が私を指さしたのです。
まさか現地妻が!?
隣にいた部下が、「先輩、まさか甲府に現地妻がいたんですか?」と言ってきました。私は驚きと焦りで「そんなことはしない! 信じてくれ!」と否定しました。しかし、周囲の人たちの視線は冷たく、まるで私が薄情な父親であるかのように感じられました。
心臓がバクバクと鳴っている中、女の子の母親が駆け寄ってきて「失礼いたしました」と深々と頭を下げました。その瞬間、周囲の冷たい視線は消え、私は安堵のため息をつきました。

