福岡県に本社を置く地方銀行、西日本シティ銀行の支店に所属する職員と、石川県内に本社を置く建設機械部品の製造・販売会社とみられる社員が相次いで、SNSアプリ「BeReal」を通じて社内の機密情報を流出させたとして、X上で大きな波紋を広げている。ホワイトボードやモニターの記載内容や社内の様子がそのまま投稿されたとみられ、「なぜこんな投稿が起きるのか」という問いとともに巻き起こっているのは、BeRealを通して浮かぶSNSに潜むリテラシーの死角だ。
「映えない」がコンセプトのSNS
BeRealは、2020年にフランスでリリースされた日常の「リアル」な瞬間を共有し、ユーザー同士が本物のつながりを楽しむための写真共有アプリ。Z世代女子に対するトレンド調査で2024年上半期「流行ったコト・モノ」1位になった。全ユーザーに1日1回ランダムな時間に通知が届き、通知から2分以内に写真を撮影して投稿しないと他ユーザーの投稿を見ることができない仕組みになっている。写真の加工・編集ができない「映えないSNS」というコンセプトと制限時間内に撮るゲーム性が若者の間で受け、利用が広まった。現在は日本国内の月間アクティブユーザー数(MAU)が530万人を突破してる。
しかし、この仕様に情報漏洩リスクの本質が潜んでいるとの指摘が上がった。今回の事案を受けてBeRealを初めて知ったという声も多く、
「BeRealなんてアプリもあるのか。毎日ランダムな時間に一度だけ通知が届き、2分以内に今の自分と周囲の風景を同時に撮影して投稿するアプリか。炎上してる銀行とか会社の写真は何故?と思ったら自分の風景を撮影するんだったらそうなるわな。これも時代の流れか」
「オッサンなので炎上騒ぎで BeReal 初めて知った…」
という反応も見られた。
「BeRealオンリー世代」との格差
Xでは今回の事案の背景として、
「BeRealの怖さは、拡散力そのものより『内輪向けだと思い込みやすい』ところですね。Xは炎上事例が流れてくるので、良くも悪くも他人の失敗から学べる。一方で閉じたSNSだけで完結していると、職場・顧客情報を外に出す危険性に気づきにくいのが問題だと思います。」 「BeRealって閉じた世界で『他者から学ぶ』機会がほぼないから、自分が燃えて初めて『やばい』って気づく構造になってるのが怖い。企業側からするとマジで採用リスク高いわ…社内情報流出も時間の問題だと思う。Xやってるだけで相対的にリテラシー高くなってる時代、ほんと不思議だな。」
と、BeReal特有の閉鎖性を指摘する声が相次いだ。なかでも注目を集めたのが
「なぜこんな新卒の変なBeReal投稿が多いかと言うと、今の新卒ってXまじめにやってない。BeRealしかほぼ見てませんって子がかなり居る。不適切投稿で沢山の人が炎上してるとかそもそも知らないの。XというSNSは、拡散力が強いSNSなのでXをメインSNSにしてる人達は当然そういった投稿が日常的に燃えてるのを知ってる。ただ、BeRealオンリー世代はまじで知らない。自分が燃えて初めて気がつく。BeRealは他者から学ぶ事のないSNS」
「ちょっと前にバイト先でしょうもないことして炎上して大変なことになる子がチラホラおったから最近はネットリテラシーちゃんとしてきたんかなと思ったら、銀行の新人がBeRealで社内の様子やホワイトボードに書いてることまで写しててビックリした」
「今の新卒、特にBeRealメインの子たちはXのリテラシーが本当に低いよね。『炎上事例知らない』ってレベルで投稿しちゃうから、変なやつが目立つ。 BeRealって閉じた世界で「他者から学ぶ」機会がほぼないから、自分が燃えて初めて『やばい』って気づく構造になってるのが怖い。企業側からするとマジで採用リスク高いわ…」
、現在の新卒世代の「SNS体験の偏り」を指摘する投稿だ。
「Z世代だけの問題ではない」
一方で、今回の問題を特定の世代に帰着させることへの疑問も上がった。
「BeReal銀行炎上は医療業界も人ごとではないし、Z世代ガーでもないと思う。常時スマホ所持という生活習慣や在宅ワーク・オンライン会議普及が、公私の切り替えを曖昧化させているのよね 私の同世代がスタバや新幹線内でPC開いて個人データ触ってるのもリテラシー的に目糞鼻糞やしね」
「歌い手リスナーもそうだし、ライブ行くオタクはBeRealだけじゃなくてだいたいツイッターやってると思うから、その炎上リスクに対するリテラシーはありそう」
というように、BeRealの使われ方もユーザー層によって異なるとの見方も出た。
BeRealの仕様上、自身が投稿しないと他ユーザーの投稿を見られない設計が、投稿への依存度を高める一因ともされている。「通知が来たら今いる場所で撮らなければならない」という強制力が、職場にいる時間帯と重なった場合にそのまま社内情報の流出につながりうる構造だ。
なお、西日本シティ銀行は30日になって、公式XにSNSで拡散していた動画や画像が同行職員により店舗内を撮影したものと認めて謝罪。動画には7人の顧客情報も映っていたことを明らかにし、対象の顧客にお詫びと説明するとしている。
「西日本シティ銀行」お詫びとお知らせ
この度、当行職員がインターネット上に投稿した営業店執務室内を撮影した動画や画像が、拡散された事案が判明いたしました。
お客さまをはじめ、多くの皆さまに多大なご迷惑や心配をおかけすることになり、心から深くお詫び申し上げます。
現時点で、執務室内の動画や画像には、7名のお客さまの個人情報(氏名のみ)が記載されたホワイトボードが映っておりました。
対象の方には、個別にお詫びとご説明を申し上げます。
社会的・公共的に大きな役割を担い、信用を旨とする金融機関として、かかる事態を招いたことについて、役職員一同深く反省いたします。
当行は、本件を厳粛に受け止め、二度とこのような事態を起こさないよう、全行あげてコンプライアンス遵守や情報管理を徹底し、再発防止に努めてまいります。
「炎上事例から学ぶ機会」の格差
「Twitterって炎上ごとが多くてネチネチしてる代わりにリテラシーが身に付くけど、BeRealとかInstagramみたいに楽しさしかないと危機感が身につかねえんだなって」という声が示すように、SNSの多様化が「炎上事例から学ぶ機会」の格差が生じているのだろうか。何よりも企業側の情報管理教育のあり方があらためて問われている。

