「私、来月親戚の結婚式があるんだけど…、妊娠中も着られるフォーマルワンピース持ってない?沙織なら持ってそうだと思ってさ」
私は1人目のときに購入したマタニティー用のワンピースがあったので、快く応じました。
「あ、いいよ!ちょうど上の子の妊娠中に着たやつがあるから」
「ありがとう、持つべきものは友だね~!」
麻衣は満面の笑みで、私の大切なワンピースを抱えて帰っていきました。だけど、実はマタニティー服も以前に貸していましたが、それも返ってきていません。私も今妊娠中で返してほしかったのですが、その場では言えずに終わってしまいました。
それから半年、私の下の子は無事生まれましたが、麻衣からの連絡はありません。SNS投稿によると、麻衣も無事出産したはずなのですが…。
「忙しいのかな」「育児で大変なんだろうな」 そう自分に言い聞かせ、結局、私のお宮参りは別のワンピースで済ませました。
ある夜、授乳の合間にふとSNSを開くと、麻衣の投稿が目に入りました。 そこには、私が貸したマタニティー服やベビー用品を並べた写真と共に、信じられない言葉が並んでいたのです。
「これは私の友達からもらったお下がりたち♡私も使い終わったら妊娠中のみんなに回すね~」
スマホを持つ手が、震えました。
「……もらった?回す?……え!あげてないけど…!」
暗い部屋で、スヤスヤ眠る子どもたちの寝息を聞きながら、私は込み上げるモヤモヤを必死に抑え込んでいました―――。
あ然…「あげた」なんて言ってない!
今まで、麻衣に貸したマタニティ用品もベビー用品も返ってこず、モヤモヤばかりが募っていました。そんな中、衝撃的なSNS投稿を見てしまったのです。まさか「あげた」ことになっていたなんて…。
その後、沙織は夫に今回の件を相談。3人目を考えている沙織夫婦は、マタニティやベビー用品はなるべく質のいいものを買いそろえていました。夫からも、麻衣の行動は「おかしい」と言われ、思い切って連絡をしてみます。
ようやく伝えた「返して」に、友人は?
数日後、勇気を出して麻衣にLINEを送りました。
「麻衣、久しぶり!体調はどう?例のワンピース、次のお出かけで使いたいから、そろそろ返してもらえる?」
返信が来たのは、翌日の夜でした。
「あ、ごめん!バタバタしてて忘れてたよ~!ワンピースまだ必要だったんだ?沙織は2人産んでるし、もう着ないでしょって思っちゃった(笑)』
「(笑)」という絵文字に、胸がチクリと痛みます。 私は「あげる」なんて一言も言っていません。それからさら2週間。 「今度会う時に」と言った麻衣からの誘いはなく、返却日の相談すらありません。
それどころか、彼女のSNSは頻繁に更新され、ランチやショッピングを楽しむ様子がアップされていました。
麻衣は、図々しいタイプのようですね。勝手に「もう着ないでしょ」と判断し、「もらった」ことにしていたのです。
これだけでも信じられないのに、麻衣からはさらに「貸して」要求が届いたのです。今度は、ベビーカーとベビーチェア。これには、さすがの沙織も限界を感じます。「今度使う予定だからムリ」と断り、さらに「今まで貸した物も返して」とキッパリと伝えます。
ところが、麻衣からの返信はいっこうにありません。

