父の本当の思いを知る
父の葬儀のため、慌てて地元に戻ります。
数年ぶりの地元。まったく変わっていない風景に懐かしさを感じながら、実家へと急ぎました。何年も会わなかった両親に、こんな形で再会するとは思いませんでした。
ゆっくり休憩する暇もなく、弔問客が次々と我が家へやって来ます。近所の人は私が赤ちゃんのころからお世話になっているので、久しぶりに帰省した姿に大喜び。そして、口々にこう言うのです。
「お父さん、いつもあなたの話をしてたのよ」
「がんばって東京のいい大学に行ったんだ」
「努力家なんだ、自慢の娘だって」
地元を離れたい一心で、何度も喧嘩していた私をそんな風に言っているとは知らず、言葉が出ませんでした。
後悔ばかりが心に残る
弔問客が帰ったあと、父を目の前に涙が止まらない私。
親が元気なうちは「また今度でいいや」「まだ時間がある」と思ってしまいます。しかし、「また今度」「いつか」は来ないこともあると、身をもって知りました。
今さらながら、もっと父と話しておけばよかったと後悔するばかりです。涙する私に寄り添ってくれる母にも、改めて「勝手ばかりしてごめんなさい」と謝りました。
今からでも遅くありません。かつての私と同じように振舞っている人がいたら、心にぜひ刻んでほしい出来事です。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:清水マキ
育児を機にキャリアを転換し、独学からライター講座の添削講師まで登り詰めた実力派。PTAやスポ少での積極的な交流から、ママたちの「ここだけの話」を日々リサーチ。金融記事も手がける確かな知性と、育児に奮闘する親としての等身大な目線を掛け合わせ、大人女性のライフスタイルから切実な悩みまでを鋭く、温かく描き出す。

