●フリーランス209万人 発注業者への指導、勧告445件
総務省の調査によると、2022年10月時点で本業をフリーランスとしている人は209万人で、全有業率の3.1%。専門的な技能を生かせることや、自分の生活に合わせ働く時間を選べることが、本業としてフリーランスを選んだ理由になっている。
新しい働き方として広がっているフリーランスを保護するため、2024年11月に取引企業に書面などでの取引条件の明示や、報酬の支払い期日を義務付ける「フリーランス法」が施行された。
法律の施行後、発注書や契約書交付の動きは広がっているものの、十分とは言えない。公正取引委員会はフリーランス法に違反して取引条件を明示しなかったり、報酬の支払い期日を守らなかったりする事業者に対し、行為の是正や再発防止を求めて勧告や指導を行っている。新聞各社の報道によると、2025年9月時点で公取委が発注業者に出した指導と勧告は計445件に上る。
取引条件が明示されないケースは、出版を含む文化・芸術業界で目立つ。2025年6月には、出版大手の小学館と光文社がフリーランスのライターらに取引条件を明示しなかったなどとして、勧告を受けた。
ただし、岡田教授は「公取委が指導や勧告をしたからといって、その事実が不法行為を成立させ、損害賠償請求が認められるとは限らない」と指摘する。冒頭の宝島社とフリー編集者の裁判でも、公取委が2023年に宝島社に対し、取引条件の明示がない(契約書の不交付)、不当なやり直しといった下請法違反の恐れがあるとして、同社を指導していた。
「公取委の行政処分を武器にして、自らの不利益を回復する、損害賠償請求すると裁判で争っても勝つことは難しい。とにかくまず契約書の交付を受けること、それにつきます」

