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「治療困難」だった心臓の三尖弁逆流症に新たな選択肢―「TriClip」でどう変わる?

「治療困難」だった心臓の三尖弁逆流症に新たな選択肢―「TriClip」でどう変わる?

「TriClip」による治療と効果

こうした状況の打開が期待されるのが、経皮的三尖弁接合不全修復システム「TriClip」です。足の付け根の静脈から太さ約1cmのカテーテルを挿入して三尖弁まで到達させ、先端に取り付けられた小さなクリップで逆流を起こしている弁の隙間を直接挟み込んで修復します。最大の特長は「心臓を止めずに治療できる」点です。心臓を止めないため、術後の心機能の低下を防ぐことができ、患者さんのQOLを大きく向上させ、心不全悪化による再入院のリスクを軽減する効果が期待されています。また、造影剤を使用しないため、腎臓の機能が低下している患者さんや透析患者さんも治療することができます。傷口が小さいこともあり、患者さんの状態によっては手術翌日には自力で歩行し、1週間弱で退院することも可能です。

 

海外で行われた多施設ランダム化比較試験「TRILUMINATE」では、術後30日以内にクリップが外れたり脳梗塞が起こったりするといった主要有害事象は極めて低いことが報告されています。効果としては術後1年で87%、2年後でも84%の患者さんでは、TRが中等度以下に制御されていました。さらに、TriClipによる治療を受けたグループは心不全を抑制する効果が、内服薬のみで治療を受けたグループと比較して2年間で30%高く認められました。

日本国内で行われた臨床試験「AMJ-504」(平均年齢81歳の重症患者37例が対象)の結果もご紹介します。試験参加者の約8割がTRの重症度の5段階評価で最も重症な「トレンシャル」と呼ばれる状態であったにもかかわらず手技の成功率は100%で、全例三尖弁の逆流を制御できるようになり、状態は1年間で約8割が中等度以下に改善していました。

TRで体に起こる変化とは

有効な治療法が登場した一方で、TRは未診断の患者さんが非常に多いことが指摘されています。弁膜症は、かかりつけ医が診療などでスクリーニングをかけ、疑いがあれば大きな施設に紹介することで治療が始まります。ところが、TRに関しては聴診器では血液が逆流する雑音がほとんど聞こえず、正確な診断に必要な心エコー装置を置いているクリニックは多くないことから、診断に至るのが難しいのが現状です。

TRを疑うポイントとして、以下のような典型的身体所見があります。

・足のむくみ
・体重の急激な増加
・首の静脈が目立つ(拍動する)
・おなかが張る
――こういった変化が見られたときはTRの可能性も考えていただきたいと思います。

TRは診断が難しく未治療で過ごしている潜在患者さんが多数いると思われる一方、これまでは有効な治療手段がなく、予後も不良でした。この度使用可能になったTriClipは、難治性右心不全に苦しむ患者さんにとって新たな治療の選択肢になると思われます。

*本稿には特定の医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。

配信元: Medical DOC

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