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『犬の麻酔』こんな子は要注意!短頭種・肥満のリスクと安全対策【獣医師執筆】

『犬の麻酔』こんな子は要注意!短頭種・肥満のリスクと安全対策【獣医師執筆】

短頭種の犬が麻酔で注意される理由

椅子の上で並んで伏せるパグとフレンチ・ブルドッグ

フレンチ・ブルドッグやパグ、ブルドッグ、シーズーなどの短頭種は、可愛らしい顔立ちが魅力ですが、その特徴的な頭の形が麻酔時のリスクにつながることがあります。

短頭種は鼻の通り道が狭く、軟口蓋(いわゆる”喉ちんこ”)が長い、気管が細いなど、呼吸の通り道に生まれつき制限を抱えています。このため、普段は問題なく見えていても、麻酔薬によって首や喉の筋肉が弛緩すると、気道がふさがれやすくなります。

麻酔中や麻酔から覚める過程では、自分でしっかりと呼吸を維持する力が一時的に弱まります。短頭種の場合、このタイミングで舌や軟口蓋が喉の奥に落ち込み、空気の通り道が狭くなってしまうことがあります。

その結果、酸素が十分に取り込めず、血中の酸素濃度が急激に低下するリスクが高まります。

また、短頭種は興奮しやすい傾向があり、緊張やストレスによって呼吸が乱れやすいことも知られています。麻酔前後のわずかな興奮が、呼吸トラブルを引き起こす引き金になることもあります。

そのため、短頭種の麻酔では、麻酔そのものだけでなく、麻酔前の落ち着いた環境づくりや、覚醒後の呼吸状態の観察が非常に重要になります。

肥満の犬に潜む麻酔リスク

体にメジャーを巻いた肥満気味のパグ

肥満は見た目の問題だけでなく、麻酔時の安全性にも大きく影響します。体脂肪が多い犬では、胸やお腹の周囲に脂肪が蓄積することで、肺が十分に広がりにくくなります。その結果、麻酔中に浅い呼吸になりやすく、酸素不足や二酸化炭素の蓄積が起こりやすくなります。

さらに、脂肪組織は単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、体内でさまざまな生理活性物質を分泌する器官でもあります。肥満の犬では慢性的な炎症状態が存在することが多く、これが麻酔や手術後の回復に影響を及ぼす可能性があります。実際に、肥満の犬は麻酔関連の合併症が起こる確率が高いことが報告されています。

薬の効き方が変わる点も見逃せません。麻酔薬は体内で分布し、代謝されて効果を発揮しますが、肥満の犬では脂肪と筋肉のバランスが変化しているため、薬の効き方や持続時間が予測しにくくなります。

体重だけを基準に麻酔薬の量を決めると、効きすぎてしまうリスクがあるため、獣医師は理想体重や全身状態を考慮しながら慎重に調整します。

また、肥満の犬は糖尿病や心臓病、関節疾患などの持病を併発していることも少なくありません。これらの基礎疾患があると、麻酔中の循環や呼吸の管理がより難しくなり、リスクが重なっていきます。

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