食欲を促進させる匂いとは?Medical DOC監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「匂いで食欲をそそられる」って言うけど本当なの?食欲を抑制させる匂いも医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
食欲を促進させる匂い

食べ物の匂いは、単に「空腹感」を高めるだけでなく、特定の食品への食欲を選択的に高めることが報告されています。嗅覚刺激は大脳辺縁系や視床下部に作用し、報酬系や自律神経を介して摂食行動に影響を及ぼします
カレーの匂い
カレーの匂いは、クミンやコリアンダー、ターメリックなど複数のスパイス成分が混在する強い嗅覚刺激が特徴です。
系統的レビューでは、スパイス由来の香気成分が嗅覚を通じて中枢神経系を刺激し、食欲や摂食意欲に影響を与える可能性が示されています。特に、匂い刺激は大脳辺縁系を活性化し、食事に対する期待感や報酬感情を高めると考えられています。
その結果、食事前から唾液分泌や消化管活動が促され、食欲増進につながる可能性があります。
ナツメグの匂い
ナツメグは甘さとスパイシーさを併せ持つ香りが特徴で、少量でも嗅覚への刺激が強い香辛料です。
Nguyenらのレビューでは、香辛料由来の精油成分が自律神経活動に影響を与え、摂食行動に変化をもたらす可能性があると報告されています。
ナツメグの香りは、嗅覚刺激を通じてリラックス反応と覚醒反応の両面に作用し、結果として食事への関心を高める要因になると考えられています。
しょうがの匂い
しょうがの香り成分は、温感刺激や消化促進作用で知られています。
香り刺激は視床下部や自律神経系に作用し、胃腸運動や消化液分泌を調整する可能性があります。
特に、食欲が低下している状態では、しょうがの香りが不快感を伴いにくく、摂食行動を後押しする要因となることがあります。匂いによる中枢刺激と末梢の消化機能調整が、相互に関与していると考えられています。
牛肉の匂い
牛肉の調理時に生じる香りには、脂質の加熱によって生成される揮発性化合物が含まれます。
Zoonらの研究では、特定の食品の匂いが、その食品に対する食欲を選択的に高める(specific appetite)ことが示されています。(Zoonら,2016)
牛肉の匂いは、一般的な空腹感を高めるだけでなく、「肉を食べたい」という方向性のある食欲を誘発する点が特徴です。これは、過去の食経験と匂いが結びつき、報酬系が活性化されるためと考えられています。
チョコレートの匂い
チョコレートの甘い香りは、快感情や報酬感覚と関連が深い匂いです。
Zoonらの研究では、チョコレートの匂いを提示することで、チョコレートに対する食欲が選択的に高まることが示されています。(Zoonら,2016)
この反応は、嗅覚刺激が大脳辺縁系や報酬系を介して「特定の食品を摂取したい」という動機づけを強めるためと考えられています。心理的満足感と食欲が密接に関係している例といえるでしょう。
「食欲と匂い」についてよくある質問

ここまで食欲と匂いについて紹介しました。ここでは「食欲と匂い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
体臭を良くする食べ物はありますか?
木村 香菜(医師)
体臭は汗や皮脂の成分、腸内環境など複数の要因が関与します。特定の食品で体臭が改善するわけではありませんが、野菜や発酵食品を中心とした食生活は、腸内環境を整え、結果的に体臭の軽減につながることがあります。

