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地震が発生した際に、「これはもっと大きな地震の前触れではないか?」と不安を感じる方は少なくありません。大きな地震の前に発生する地震のことを前震(ぜんしん)と呼びます。過去には前震のあとにさらに規模の大きな本震が発生し、甚大な被害につながったケースも存在します。この記事では、前震の定義や本震・余震との違いを整理し、いざという時に落ち着いて行動するための地震活動のパターンと備えのポイントを解説します。
前震とは?
前震(ぜんしん)とは、一連の地震活動において、もっとも規模の大きな地震(本震)が発生する前に、その震源域となる領域で起こる地震のことです。前震は、本震に比べて規模が小さく、数も少ない場合が多いのが一般的です。しかし、なかには多数の前震が発生したり、それ自体が大きな揺れとなったりすることで、被害を及ぼすケースも少なくありません。また、前震が起こるタイミングは、本震の直前から数日前であることが多いですが、場合によっては1か月以上前から活動が始まることもあります。
このように発生の間隔や期間には幅があるため、一度揺れが収まったように見えても、しばらくの間はさらに大きな地震への警戒が必要です。
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本震との違い
本震(ほんしん)とは、一連の地震活動の中で最も規模が大きな地震を指します。前震との違いは、そのエネルギーの大きさと発生する順番にあります。前震が本震に先立って起こる相対的に小さな揺れであるのに対し、本震はその一連の活動において最大のエネルギーを持つ地震です。ただし、発生した瞬間にそれが本震か前震かを判別することは難しく、後からより大きな揺れが起きて初めて、先に起きたものが前震であったと定義されます。
余震との違い
余震(よしん)は、本震の後にその震源域で発生する地震です。前震が本震の前に起こる予兆的なものであるのに対し、余震は本震によって生じた巨大なひずみを解消するために発生する地震という違いがあります。
本震の直後は余震の回数が多く、時間とともに減少していく傾向がありますが、一時的に活発化することもあります。規模は本震よりマグニチュード1程度小さいことが多いものの、本震に近い大きな揺れが起こるケースもあるため注意が必要です。
地震活動のパターン
地震の起き方はさまざまですが、発生する順番や規模の大きさに注目すると、大きく分けて3つのパターンに分類されます。以下に地震活動のパターンを紹介します。
本震-余震型
地震本部「地震数の時間変化の模式図(本震-余震型)」
前震がほとんどなく、突発的に最も大きな本震が発生し、その後に規模の小さい余震が続くパターンです。日本で発生する多くの地震がこのタイプに該当します。本震によって大きなエネルギーが放出された後は、時間とともに余震の回数は減っていきますが、本震直後は強い揺れが繰り返されるため、建物の倒壊などに警戒が必要です。
代表的な事例として、2005年の福岡県西方沖地震が挙げられます。この地震では、事前の揺れは観測されず、突如としてマグニチュード7.0(最大震度6弱)の本震が発生しました。
前震-本震-余震型
地震本部「地震数の時間変化の模式図(前震―本震-余震型)」
本震が起こる前に、いくつかの前震が発生するパターンです。最初の揺れが本震だと思い込んで安心してしまうと、その後に襲ってくるさらに巨大な揺れによって、避難や片付けの最中に被災する危険があります。
このパターンで記憶に新しいのが、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)です。3月11日の本震が発生する2日前の3月9日に、三陸沖を震源とするマグニチュード7.3(最大震度5弱)の前震が発生していました。
また、2016年の熊本地震においても、4月14日にマグニチュード6.5(最大震度7)の地震が発生しましたが、これは前震でした。その約28時間後の4月16日に、さらに規模の大きなマグニチュード7.3(最大震度7)の本震が発生し、前震でダメージを受けていた家屋が倒壊するなど被害が拡大したとされています。
群発的な地震活動型
地震本部「地震数の時間変化の模式図(群発型)」
明確な本震がなく、狭い範囲で同程度の規模の地震が何度も繰り返されるパターンです。火山活動や地下の流体の移動が関係している場合に見られ、活動が数か月から数年以上と長期にわたることもあります。
代表的な事例として、1965年から約5年間にわたって続いた長野県の松代(まつしろ)群発地震が挙げられます。このときは震度1以上の有感地震が約6万回も記録され、家屋の損壊や地すべりなどの被害が発生しました。
