伝わってきたもの
女性が席に座ったあとも、男性の動きは自然でした。
混み合う車内で、自分の立ち位置を少しずつ調整しながら、周囲の人の荷物が女性の足元に当たらないように気を配っています。
(こういうこと、さらっとできる人なんだ)
印象が大きく変わった瞬間でした。
さらに女性が降りる場面では、反対側の扉まで付き添い、手を引いてそっと支えています。
「ご親切にありがとう」と声をかけられても、大きく反応することはなく、軽くうなずくだけでした。
見た目で判断していた
その様子を見ながら、私は自分の中にあった前提に気づきます。
「怖そう」と感じたあの印象は、ほんの一瞬の見た目だけで作っていたものでした。
「なんで、あんな風に決めつけていたんだろう」
そう思うと、恥ずかしさが込み上げてきます。

