「この人何言ってん??何回読んでも理解できへん」―。Xのあるユーザーが、今年のゴールデンウィーク(GW)最終日の6日に投稿した、新幹線指定席車両で高齢者夫婦や子どもに席を譲らないのは「日本が平和じゃなくなったなぁ」「日本人としての心がない」という主張を紹介した画像が波紋を広げている。GWも明け、久しぶりの出勤や登校に心も体も切り替えられない人が少なくないなか、「思いやり」と「有料サービスの対価」をめぐる議論が広まっている。
「無償の奉仕は行き過ぎると…」
少数ながら、この主張を前向きに受け止める声も見られた。
「ホントに心の広い優しい人なんですよ。僕は自由席でも躊躇する心の狭い人です。在来線なら譲るかな」
「立つこと自体苦にならないタイプだから譲る派だけど、それを当たり前としたら指定席である意味がないもんな」
「思いやりの心とお金を払って購入したものを自分用に使う話はまったく別の話なのにごっちゃになってて横転」
「無償の奉仕は、行き過ぎるとただのお人好しになっちゃう でも、奉仕の心そのものはすごく大事 結局は、尽くすことと自分を失わないことのバランスなんだよね」
こうした声は「譲りたい気持ちはある。ただし指定席は別の話」という意識が根底にあると言える。
「わざわざ予約して取ってますからねぇ」
一方、圧倒的多数を占めたのは、指定席の有料性を根拠にした冷静な批判だ。
「指定席はわざわざ予約して取ってますからねぇ 譲ってというものではないですよね」
「映画館でも同様の事が起きているのだとか。お金を払わないで座りたい? ダメに決まってるじゃんね?」
「自由席の中で優先してあげればすむ事ですよね 指定席を巻き込む必要はない」
「指定席関係ない電車なら未だしも、新幹線の指定席でこれは、、、」
もっとも、緊急時の例外を指摘する声もあった。
「妊婦さんが陣痛起こしたり 発作を起こして倒れそうになった人がいた時のみ緊急事態として座らせてあげる そう言うのが心って言うのだよ」
「これが電車の優先座席の話ではなく、お金を払って指定席券を買っている人に向けられているという」
また、
「か、怪文書すぎる…。お金払って買った指定席にこんなイチャモンつけられちゃうのか」
「1行目から平和と何が関係あるのかわかりませんでした…。」
と、主張の論理構造そのものへの疑問も寄せられた。
JR規則では「指定席は指定列車・指定座席のみ有効」
JRの旅客営業規則(第172条第1項)では、指定急行券(指定席特急券)を所持する旅客は「その券面に指定された乗車日、急行列車、旅客車、座席及び乗車区間に限って乗車することができる」と明記。さらに第173条では、指定の乗車駅で乗車しなかった場合は「当該急行券に指定された座席を請求し、又は旅客車に乗車することができない」として、指定席権が購入者に帰属することを明確にしている。
優先席については異なる。実は、JR旅客営業規則には「優先席の効力」を定めた条文が存在しない。優先席はサービス運営上のガイドラインに基づく設定であり、お年寄りや体の不自由な方、妊婦、小さな子供連れへの「お願いベース」の案内にとどまる。すなわち今回の指摘は、この「法的効力のある指定席」と「お願いベースの優先席」を混同したことで生まれたのかもしれない。
「つまり、指定席をその場で譲ればいいんですよ。言い値で。ダフ屋行為が日本人としての心らしい」というシニカルな指摘が象徴するように、「有料サービスを無償で譲渡することを『心』と呼ぶ」という論理への戸惑いは広く共有され、混線したまま走り続けている。

