治療のゴールは「炎症を抑え、生活の質を守ること」
慢性歯肉口内炎の治療では、痛みと炎症をいかに抑えるかが重要なポイントになります。内科治療としては、免疫の働きを調整する薬や炎症を抑える薬が使われることがありますが、すべての猫に同じ効果が出るわけではありません。効いているように見えても、時間が経つと再び悪化することもあります。
重症例では、歯が炎症の引き金になっていることも多く、抜歯が検討されることがあります。歯を失うことに抵抗を感じる飼い主さんも多いですが、痛みの原因を取り除くことで、食事ができるようになり、表情が明るくなる猫も多いです。「もっと早く決断すればよかった」と感じる飼い主さんも少なくありません。
また、近年では新しい治療法の研究も進んでおり、従来の治療で改善しなかった猫に希望が見えるケースも報告されています。ただし、どの治療を選択する場合でも、猫の性格や年齢、生活環境を含めて、獣医師と相談しながら進めることが大切です。
慢性歯肉口内炎は「完治」を目指すのが時に難しい病気ではありますが、「痛みなく食べられる」「穏やかに過ごせる時間を増やす」ことは十分に目指せます。治療のゴールを共有しながら、猫にとって一番つらくない選択を考えていくことが重要です。
まとめ
猫の治りにくい口内炎の正体は、免疫が関与する慢性歯肉口内炎かもしれません。「歳のせい」「わがまま」と思われがちな食欲のムラなどの変化の裏に、強い痛みが隠れていることがあります。早期発見と継続的な治療が、猫の「食べる幸せ」と穏やかな日常を守る大きな鍵になります。
参考文献:Vet World. 2023 Aug;16(8):1708-1713.

