弟からの手紙を読む横顔。彼は結核を患い、痩せこけていた。同役を演じる吉沢亮は、この変化を、13キロもの減量で表現したのだ。
俳優が驚異的な役作りをする例はたくさんある。歴史的名演も含まれている。一方で功罪があるのも確かだ。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。
古今東西、過剰な役作りの功罪
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1980年公開、マーティン・スコセッシ監督作『レイジング・ブル』で、伝説的ボクサーであるジェイク・ラモッタ役を演じたロバート・デ・ニーロは、現役時代の肉体と引退後の肥満体を表現するために、体重を30キロも増減させた。
デ・ニーロは第53回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。映画史の名演とされる。極端なビジュアルの変化も厭わない、過剰なまでの役作りは「デ・ニーロ・アプローチ」と呼ばれる。これは、役柄の内面性をあらゆる角度から徹底的に深掘りする、ニューヨークの演技スクール「アクターズ・スタジオ」仕込みの演技法(メソッド)に由来する。
反面、過剰な役作りが監督の意図する演出を損なうこともある。巨匠アルフレッド・ヒッチコックなど、俳優にはニュートラルな演技を求める演出家も古今東西、たくさんいるからだ。それでもデ・ニーロ・アプローチを信奉する俳優はまだまだ多い。演出面に限らず、その功罪はいたるところにある。
俳優にとって体重の増減は必須なのか?
『マシニスト』(2004年)で30キロ近く減量したクリスチャン・ベールもまた、極端な増減を繰り返すタイプの俳優として有名。同作でげっそりしたベールを見ると、いくらフィクションの世界での成果物(演技)とわかっていても、何だか俳優本人の健康面が心配になってくる。プロの指導の下、(俳優の)身体管理は万全とはいえ、俳優も人間である以上、無理は禁物だろう。
そもそも俳優の役作りにとって、体重の増減は必須なのか? そのことを改めて考えさせるような問いを、日本のある精神科医がX上で投げかていた。そのポストの主旨はこうだ。
日本のメディアは、自在に体重を増減させる俳優たちの役作りをもてはやす風潮があり、それが視聴者や観客たちにまで無理なダイエットを助長させるのではないか、というもの。これは、連続テレビ小説『ばけばけ』で、役柄の変化に合わせて13キロも減量した、吉沢亮演じる英語教師・錦織友一の再登場回(第23週第112回)を踏まえたポストだった。

