必要な「介入タイミング」の基準作り
次の重要な課題として「くすぶり型のどの段階で介入すべきか」という基準作りが必要になります。現在、いくつかの基準が存在していますが、今後はまずアキーラ試験を基準としたうえでさらに検討していくべきだと思います。ダラツムマブによるくすぶり型多発性骨髄腫の治療を3年間続けることで、その後数年間は進展せずに普通の生活を送れる可能性が出てきます。
ただし、良い点ばかりではありません。アキーラ試験全体のデータにおいて、入院治療や手厚い処置が必要となるような重い副作用(グレード3、4の重篤な有害事象)の出現割合はダラツムマブ群で40%、観察群で30%であり、日本人もほぼ同じ傾向でした。ダラツムマブの安全性はおおむね担保されているものの、副作用が全くないわけではない点には十分な理解が必要です。
みんなで進んだから来られた治療の“現在地”
高リスクのくすぶり型骨髄腫に対してダラツムマブが承認されて新たな患者群に治療介入を検討することができるようになり、悪くなるまで待たなくても良くなりました。ただし副作用のリスクもあります。この薬での治療を検討するにあたり、これまで見てきたさまざまな結果を正しく理解し、医師と患者さんが一緒に意思決定する「Shared Decision Making(SDM:共同意思決定)」を行っていくことが重要です。
私たちは、約50年、多発性骨髄腫を何とかしたいと努めてきました。そうしているうちに新薬が登場し、治癒も期待できるようになってきました。そしてさらに、進展の遅延が期待できるところまで進んできました。私の好きな言葉に、「早く行きたかったら一人で行け。遠くに行きたかったらみんなで行け(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)」というアフリカのことわざがあります。医師、患者さん、製薬業界、みんなで進んだからここまで来られた――そう思います。
*本稿には特定の医薬品についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。
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