スキルス胃がんの治療法はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医がスキルス胃がんの治療法について解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「スキルス胃がんを全摘出」した場合の”生存率”は?初期症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
スキルス胃がんとは?
胃がんは、肉眼的な特徴から6つに分類されています。そのなかでもびまん浸潤型に分類されるスキルス胃がんの特徴は、以下のとおりです。
はっきりとした潰瘍がみられない
潰瘍周囲の盛り上がりがない
胃壁に厚みがある
胃壁が硬くなっている
病巣と周囲の粘膜の境界がわからない
このような状態の進行胃がんをスキルス胃がん(4型胃がん)といいます。胃がんは早期発見・早期治療の進歩が著しく、完治する人も増えてきています。
しかしスキルス胃がんは、90%以上がステージII〜IVの進行がんで発見時にはステージIVであることがほとんどです。これはスキルス胃がんの進行スピードが早いこと、早期の場合、隆起ではなく色調変化などなので見つけにくいことが、早期がんの時点での発見を困難にしているためです。
発症原因
胃がんの発生リスクは複数あり、以下のような行動や刺激が原因の一部になると考えられています。
喫煙
塩分
ストレス
アルコール
刺激物
ピロリ菌への感染
日々の生活習慣のなかで禁煙・減塩・食黄色野菜の摂取・適度な運動を行ったり、ピロリ菌の除菌をしたりすることでこれらのリスクを下げることへとつながります。
検査
胃がんでは、2つの目的で検査が行われます。1つ目の目的は、がんかどうかを調べることです。がんの有無を調べるためには、内視鏡検査やX線検査を行います。内視鏡検査でがんの疑いがある部分が見つかった場合は、その部分をつまんで採取して病理検査をする生検を行います。2つ目の目的は、がんの進行度を調べることです。
がんの進行度を調べるには、以下の検査を行います。
CT検査
MRI検査
PET検査
これらの検査によって、がんの深さ・リンパ節転移の有無・胃の周囲の臓器へのがんの浸潤の有無を調べることができます。さらに腹膜播種が疑われる場合には、内視鏡検査や全身麻酔での審査腹腔鏡が行われることもあります。
診断
胃がんの診断は、内視鏡検査で行われます。一般的には胃カメラと呼ばれる検査です。上部消化管内視鏡検査では、胃の中を内視鏡で直接観察して組織を採取します。そして、採取した検体のがんの有無を病理検査で確認し、胃がんの診断が行われます。
スキルス胃がんの治療法
スキルス胃がんだからといって特別な治療は行いません。スキルス胃がんとほかの胃がんの治療法に違いはなく、同じような治療が行われます。
手術
手術は、胃がんの腫瘍と胃の一部または全部を切除する外科的治療法です。スキルス胃がんの手術ではほとんどの場合、胃の一部のみの切除ではなく全摘になります。また、手術時には同時に胃の周りのリンパ節を取り除いたり、食べ物の通り道を新たに作る消化管再建術が行われたりします。
胃の切除後の消化管再建は、食道と腸を縫い合わせて新たな食べ物の通り道を作るための方法です。胃の周囲の臓器にがんが浸潤している場合には、胃の切除時に他臓器合併切除というかたちでほかの臓器の一部を合わせて切除することもあります。
化学療法
化学療法とは、薬物療法のうち抗がん薬による治療を指します。胃がんに対する化学療法の目的は、以下のとおりです。
手術適応とならない進行がんの治療
再発予防
手術との併用で手術効果を高める
抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。この治療効果を高めるために、患者さんに合わせて内服や注射を選択したり組み合わせて使用したりします。
内視鏡的切除
早期胃がんのうち、一部のがんに対しては内視鏡で切除が行われることがあります。内視鏡での切除の適応はリンパ節転移の可能性が極めて低いことと、がんが一括切除できる大きさと部位であることです。
内視鏡での胃がんの切除には、EMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の2つの方法があります。
放射線療法
胃がんのがん細胞は、放射線にあまり反応しないという特徴があります。また胃の周囲の臓器は放射線に対して弱いため、放射線治療が第一選択に上がることはほとんどありません。再発した胃がんの補助的な治療・痛みの強い患者さんの症状の軽減・リンパ節や腫瘍からの出血コントロールなどがその目的です。

