「今」この取り組みをする理由
近年、思春期のこどもたちを取り巻く環境は大きく変化している。西宮市においては中学生の不登校が約800人にのぼるなど、学校に通いづらさを感じているこどもが一定数存在している。
また家庭環境や人間関係、経済的な制約など複数の要因が重なり、日常生活の中で孤立しやすい状況にあるこどもも少なくない。さらに同市の10代の自死率は兵庫県平均の約2倍という状況にあり、思春期のこころの不調への対応は喫緊の課題となっている。
一方で中高生が継続的に利用できる公的な居場所は限られており、特に学校に通えていないこどもたち、家庭での負担が大きいこども、人間関係に困難を抱えているこどもほど支援につながりにくい状況がある。また「相談に行く」という行動自体のハードルが高く、状態が深刻化してから支援に出会うケースも見られるという。
同団体のこれまでの実践においては、居場所での自然な関わりの中でこどもから相談があり課題の早期解決につながった事例や、家庭の状況に気づき児童相談所等の関係機関へつないだ事例もある。
「第三の安全網」として地域でこどもを支える
このような背景から、同事業では、行政による支援(公助)と家庭での支え(自助)の間を補う「第三の安全網」として、地域の中でこどもを支える仕組みを構築する。こどもたちが「楽しさ」をきっかけに継続的に通える居場所を整備し、心理的安全性を伴う継続参加、感情と生活の自己管理スキルの獲得、信頼できる大人とのつながり形成、深刻化の予防につながる対話機会の提供を目指す。
具体的な目標として、居場所の10代利用人数を1日平均10人から13人へ増加、「安心して過ごせる」と感じる利用者80%以上、メンタルヘルス体験型プログラム(アート・音楽・料理・スポーツ等)を年間8回以上実施。セルフケアに関する学びを得たと回答する利用者70%以上、「安心して話せる大人がいる」と回答する利用者70%以上、日常的な関わりの中での見守りと早期気づきの体制整備、ひといきタイムの実施年間24件以上、必要に応じた専門機関への橋渡し年間10件程度を掲げている。
この取り組みにより、不登校や孤立の長期化の予防、自己肯定感の向上、安心できる関係性の構築、地域全体での支援体制の強化を図る。
同事業は、こどもたちのこころの不調を早い段階で受け止める「地域モデル」として、今後他地域への展開も視野に入れているという。
■ こどもサポートステーション・たねとしずく
住所:兵庫県西宮市城ケ堀町2-22早川総合ビル3階
公式サイト:https://tanetosizuku.com
公式Instagram:https://www.instagram.com/tane_sizuku
(丸本チャ子)
