夏が近づくと、脇の臭いや汗ジミが気になり始める人も多いのではないでしょうか。ワキガは体質によるものとされていますが、治療を検討するタイミングにもポイントがあります。本記事では、ワキガ治療に適した時期や治療の選択肢について、秋葉原フロンティアクリニック総院長の鴫原康先生(日本形成外科学会形成外科専門医)に話を聞きました。
※2026年3月取材。

監修医師:
鴫原 康(秋葉原フロンティアクリニック)
昭和63年東北大学医学部卒業。東北大学形成外科、仙台医療センター形成外科、米国メイヨークリニック、東北大学大学院医療管理学分野、東北医科薬科大学臨床准教授などを経て現職。医学博士、日本形成外科学会 形成外科専門医、日本医師会認定産業医。
脇のニオイ、どこからがワキガか
編集部
汗の臭いが気になります。気にしすぎなのでしょうか?
鴫原先生
周囲が気づかない程度でも、本人だけが強く気にしているケースもあります。体臭は誰にでもあるためです。一方で、体質的に腋臭症(えきしゅうしょう)、いわゆるワキガと診断される人もいます。
編集部
ワキガとはどのような状態を指すのですか?
鴫原先生
アポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚の常在菌に分解されることで、特有の臭いが生じる状態です。思春期以降に目立つ傾向にあり、遺伝的体質が関与する場合もあります。単なる汗臭さとは仕組みが異なります。
編集部
多汗症とも違うのですか?
鴫原先生
多汗症は汗の量が過剰な状態を指すため、必ずしも強い臭いを伴うわけではありません。腋臭症は汗の成分が関係する点が特徴です。両者が同時にみられる場合もありますが、診断や治療方針はそれぞれ分けて考える必要があります。
編集部
診断はどのようにおこなうのでしょうか?
鴫原先生
まず問診で生活上の困りごとを確認し、視診や臭いの評価をおこないます。必要に応じて発汗量も確認します。臭いは自身ではわかりにくく、実際には気にしすぎているケースも少なくありません。自己判断には限界があるため、医師に総合的な状態を確認して判断してもらってください。
ワキガの治療にはどんな選択肢があるか
編集部
ワキガの治療法にはどのようなものがありますか?
鴫原先生
症状の程度に応じて、外用療法や手術療法などがあります。生活への影響が軽度であれば保存的治療から始める場合もありますし、根本的改善を希望する場合には手術を検討します。
編集部
外用療法とはどのようなものですか?
鴫原先生
抗菌作用などを利用して臭いを抑える方法です。侵襲が少なく日常生活への影響も比較的小さい点が特徴ですが、継続的な使用が前提となります。症状が軽度の場合や、まずは様子を見たい場合に選択されます。
編集部
手術療法について教えてください。
鴫原先生
脇の汗腺を直接取り除く方法です。根本的な改善が期待できます。一定の条件を満たせば保険適用となる場合もあります。術後は1週間ほど脇を固定する必要があり、その間は腕を使いにくくなるため、仕事などのスケジュール調整が必要です。また、腫れや内出血、ダウンタイム、費用などについて十分な説明を受け、納得したうえで治療を受ける必要があります。
編集部
手術以外の根本治療はないのでしょうか?
鴫原先生
治療法の一つとして、マイクロ波で汗腺にアプローチする方法があります。ただし、主な適応は原発性腋窩多汗症(※)です。日本では保険適用外の自費診療となり、費用は20万~30万円が一般的な相場です。切開を伴わない方法として選択される場合もありますが、適応は診察で判断します。局所麻酔を使用するため、治療中の痛みは抑えられます。しかし、治療後2~3日は腫れや痛みを伴うことがあります。まれに、やけどや神経損傷といったリスクを伴う場合があります。※原発性腋窩多汗症:明らかな原因がないにもかかわらず、脇の下に過剰な汗をかく疾患

