下の血圧が100を超えたときに考えられるリスク
下の血圧が100mmHgを超えると、診察室血圧の分類ではⅡ度(中等度)高血圧、110mmHgを超えるとⅢ度(重度)高血圧に相当します。
これは、上の血圧が正常でも、下の血圧だけでこの重症度分類に入るという意味です。
高血圧を放置すると、次のような病気を引き起こす可能性があります。
・脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血 )
・心筋梗塞・狭心症
・心不全
・大動脈解離
・慢性腎障害
・網膜出血 など
そのため、自覚症状がない場合でも、下の血圧が100mmHgを繰り返し超えるようであれば、早めに医療機関を受診しましょう。
さらに、
・突然の激しい頭痛
・ろれつが回らない
・手足の麻痺がある
・胸痛や息苦しさがある
・片目・両目が見えづらい
といった症状を伴う場合は、高血圧緊急症にあたる可能性があるため、ためらわず救急外来を受診することが必要です。
高血圧
高血圧の基準
家庭血圧:135/85mmHg以上
Ⅰ度 135–144/85–89mmHg
Ⅱ度 145–159/90–99mmHg
Ⅲ度 160/100mmHg以上
診察室:140/90mmHg以上
Ⅰ度 140–159/90–99mmHg
Ⅱ度 160–179/100–109mmHg
Ⅲ度 180/110mmHg以上
診察室血圧は1回だけでなく、数回測定した結果をもとに判定します。上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)のどちらか一方でも高血圧の基準に当てはまれば「高血圧」と診断されます。また、家庭血圧は5~7日程度の平均値で評価し、どちらか一方でも135/85mmHg以上であれば、高血圧と判断されます。高血圧の診断では、家庭血圧のほうを優先して総合的に判断します。
動脈硬化が進んでいる
下の血圧が高くなる背景には、末梢血管抵抗(血液の流れにくさ)の上昇があります。末梢血管抵抗が上昇する主な理由を以下に示します。
① 交感神経の亢進:ストレスや緊張などで交感神経が高ぶると、血管が収縮し、血圧が上がりやすくなります。
② 肥満・メタボリックシンドローム:細い動脈(細小動脈)の壁が厚くなり、内腔が狭くなることで血流が悪くなります。
③ 内分泌・腎臓病・薬物による二次性高血圧:ホルモンの異常や腎臓病、薬物(NSAIDs、甘草製剤、交感神経刺激薬、グルココルチコイド(ステロイド)、シクロスポリンなどのカルシニューリン阻害薬、エストロゲン製剤、一部のがん分子標的薬など)で血管抵抗が上がり、血圧が高くなります。
下の血圧の高い状態が続くと、動脈硬化が徐々に進行し、
・脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)
・心疾患(狭心症・心筋梗塞・心不全など)
・腎臓病
の発症リスクが上昇します。
拡張期高血圧
拡張期高血圧とは、下の血圧が常に高い状態にある高血圧をいいます。
そのままにしておくと、動脈硬化が進行し以下のような病気を発症する可能性が高まります。
脳:脳梗塞・脳出血
心臓:心筋梗塞・狭心症・心不全
腎臓:慢性腎臓病
眼:網膜症
「下の血圧が100を超えたら」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「下の血圧が100を超えたら」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血圧の下が100の場合、どのような症状が出てきますか?
大沼 善正 医師
下の血圧が100を超えただけで、すぐに症状を来すことはほとんどありません。ただし、
・頭痛がする
・ろれつが回らない
・手足の麻痺がある
・胸の痛みや息苦しさがある
・目が見えづらい
などがある場合には、高血圧緊急症といわれる状態に該当する可能性が高く、早期に医療機関を受診する必要があります。
血圧の上が基準値でも下が100の場合、高血圧なのでしょうか?
大沼 善正 医師
はい、その通りです。上の血圧・下の血圧のどちらか一方が高血圧の基準に当てはまっていれば、「高血圧」と診断されます。
ただし、1回だけの数値では判断せず、時間を空けて複数回測定し評価します。
血圧の下が100の場合、医療機関に受診を検討した方が良いでしょうか?
大沼 善正 医師
下の血圧が100であれば、症状がなくても早めに医療機関を受診しましょう。
厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム」でも、未治療の方で収縮期血圧が160mmHg以上、または拡張期血圧が100mmHg以上の場合には、すぐに医療機関を受診するように推奨されています。また、血圧の数値にかかわらず、突然の激しい頭痛、手足の麻痺、ろれつが回らない、胸痛や強い息苦しさ、急に目が見えにくいといった症状を伴う場合は、高血圧緊急症など危険な状態の可能性があります。こうした症状があるときは、迷わず救急外来を受診しましょう。

