「友達技術……? 何よそれ、意味わかんないわよ!」
蘭子さんが声を荒らげます。しかし、奏斗くんママは動じません。
「言葉通りよ。プロとしての対価を払わないってことは、適当に塗られても、すぐに剥げても、爪を傷められても文句は言えないってこと。だって『友達の遊び』なんだから。蘭子さんは、敦美さんの技術を信頼して頼んだんじゃないの? それとも、ただ安く済ませたいだけ?」
「それは……そうじゃないけど……」
蘭子さんの顔がみるみる赤くなっていきます。
「もし私が敦美さんにお願いするなら、絶対にお金は値切らない。だって、彼女がその技術を習得するためにどれだけの時間と学費をかけて、今もどれだけ神経を削って作業してるか、想像がつくから。それを『友達だからタダ同然で』なんて、相手の人生をバカにしてるのと同じだよ」
厚かましいママ友を完全に論破!
奏斗くんママの言う通りですね!蘭子の言動は、あまりにもプロとしての敦美の技術を軽視しています。自分のことしか考えていない「守銭奴」は、蘭子のほうです。
この発言がきっかけで、周囲のママ友も「友だちだからこそ、気を遣うよね」と同意。その後、蘭子は別のママ友にも「友だちだから」と、ムリなサービスを強要していたことが発覚し、園で孤立します。
敦美は、奏斗くんママに感謝を伝えます。そして実は、奏斗くんママも同じようなことを経験したことがあると語ってくれます。
技術を搾取された、苦い過去
「実は私、奏斗が生まれる前まで美容師だったの」
奏斗くんママの言葉に、私は驚きました。
「やっぱり、あったんですか? 似たようなトラブル」
「ええ、数えきれないくらい。髪切って、染めて、トリートメントして……『友達なんだからサービスしてよ』って。一度受けると、それが当たり前になっちゃうのよね。結局、本当の友達は去っていって、利用したいだけの人だけが残る。だから私、美容師辞めちゃったの」
彼女は私の手を取り、真剣な表情で続けました。
「だから、敦美さんには辞めてほしくない。自分のスキルの対価で生きてるんだから、もっとプライドを持って。あなたの技術は、あなただけの宝物なんだから」
「友達価格なら友達技術。……その言葉、胸に刻みます。本当にありがとうございます」
私は心から笑うことができました。
同じようなツラい経験をした人からの言葉、心に染みますね。「技術は宝物」という言葉、本当に素敵ですね。
一時は、サロン経営にも影響を及ぼしかねないほどのできごとでしたが、一気に持ち直しました。そして、敦美のサロンには大切なお客様が増えます。

