圧倒的な描き込みが放つ「呼吸困難なほどのエネルギー」

田島大介氏の作品を一目見て驚かされるのは、その異常なまでのディテールです。
ケント紙にインクで描かれるのは、実在しない架空の巨大都市。誇張された遠近法によって、ビル群は天を突き、複雑に入り組んだ構造物が画面を埋め尽くします。
彼の描く都市は、単なる風景画ではなく、香港、台湾、中国本土での旅の記憶と、SF映画や日本のアニメ・マンガの描写が融合し、独特の生命力を宿しています。
細部を注視すればするほど、そこにある「個」の存在が情報の奔流に飲み込まれていくような、心地よい眩暈(めまい)すら感じさせるでしょう。
現代社会を映し出す鏡「無限虚無」というテーマ
参考作品 Entering The New World 167x130.3x3.3cm 2022 ケント紙にインク、木製パネル
本展のタイトル「無限虚無」には、現代を生きる私たちが直面している「混沌」と「虚無」が内包されています。
SNSやネットを通じて氾濫する情報、大量生産・大量消費されるコンテンツ。日々新しい何かが生まれては、均一化され、すぐに忘れ去られていく――。
田島氏は、この加速し続けるシステムの群体を、増殖し続ける都市の姿に重ね合わせました。
作品から溢れ出す圧倒的な熱量は、私たちの生存競争の激しさ(混沌)を象徴すると同時に、その中心にある空虚さ(虚無)を鮮烈に描き出しています。
展覧会ステートメント
日々追いつけないスピードで出現する何かをコピーしたような人物、コンテンツ、または商品。
それは均一化された存在の、生まれては消えること、認知されては忘れられていくことの繰り返しの世界。
加速する現代の競争社会はどこか呼吸困難で、私たちは抱えきれないくらいの情報を浴びながら生活する。
無限増殖する情報やシステムの群体はこの先私たちにどれほどの幸福をもたらすだろうか。
現代社会を生きて感じる混沌とそれに反する虚無感を、今回の展覧会にて構成する。
