関節リウマチは左右対称に症状が現れることが多いとされていますが、初期は片側だけに症状が出ることもあります。この記事では、症状がどのように広がり、進行していくのかを解説します。また、変形性関節症や痛風など、似た症状を持つほかの疾患との違いや、診断に用いられる検査についても詳しくご紹介します。

監修医師:
佐藤 章子(医師)
川崎市立川崎病院整形外科初期研修医、東京女子医科大学東医療センター整形外科リウマチ科医療練士助教待遇、東京警察病院整形外科シニアレジデント。その後地域中核病院、リウマチ専門クリニックを経て、日本医科大学整形外科リウマチ科助教。その後国立病院勤務。
【研究】
大腿骨近位部不顕性骨折に対する画像診断の検討(神奈川整形災害外科学会論文賞受賞(執筆、指導実施)、関節リウマチ患者に対する人工関節、生物学的製剤などの薬物療法に関する研究、変形性膝関節症に関する研究など
関節リウマチの症状の左右対称性と進行パターン
関節リウマチの症状の現れ方には、いくつかの特徴的なパターンがあります。どの関節に、どのような形で症状が現れるかを知ることは、他の関節疾患との鑑別や、病状の進行度を把握する上で重要な情報となります。
左右対称に症状が出ることが多い理由
関節リウマチの古典的な特徴の一つが、関節炎が左右対称性(Symmetrical)に起こりやすい点です。例えば、右手の人差し指の付け根の関節(MCP関節)が腫れると、ほぼ同時期に左手の同じ関節にも症状が現れる、といった具合です。
ただし、この「左右対称性」は絶対的なルールではありません。発症初期には、片方の手や足の数個の関節のみに症状が現れる非対称性の発症パターンも珍しくなく、時間が経つにつれて徐々に対称性が顕著になるケースも多く見られます。「片方の手だけが腫れているからリウマチではない」と自己判断せず、症状が持続する場合は専門医の診察を受けることが肝心です。
初期から中期にかけての症状の変化
関節リウマチが未治療のまま進行すると、症状は徐々に変化・拡大していきます。初期には手指や足趾などの小関節が中心ですが、病状が進行すると、膝、肘、肩、股関節、足首といったより大きな関節(大関節)にも炎症が波及していきます。複数の関節に炎症が及ぶ状態を「多関節炎(Polyarthritis)」と呼び、これもリウマチの特徴です。
炎症が続くと、日常生活における機能障害がより明確になります。例えば、ペットボトルの蓋が開けられない、ドアノブが回せない、包丁を握るのが辛いなど、手の握力や巧緻性(細かい作業を正確に行う能力)が著しく低下します。足に症状が及ぶと、歩行時の痛みで外出が億劫になったり、靴が履きにくくなったりします。放置すると、関節破壊による変形(スワンネック変形、ボタン穴変形など)が生じ、機能が永久に失われる可能性もあります。
関節リウマチとほかの病気との見分け方
関節の痛みや腫れは、関節リウマチ以外にも様々な病気で起こりうる症状です。正確な診断は医師が行いますが、代表的な疾患との違いを知っておくことは、適切な診療科を受診する上で役立ちます。
変形性関節症・痛風・乾癬性関節炎との違い
変形性関節症(OA):加齢や機械的負担による軟骨のすり減りが原因です。主に体重のかかる膝や股関節、あるいは指の第一関節(DIP関節)に好発します。朝のこわばりはあっても通常30分以内に改善し、動かし始めに痛みが強く、休むと和らぐ(機械的疼痛)のが特徴です。一方、リウマチは第二関節(PIP)や付け根(MCP)に多く、安静時にも痛み、こわばりが1時間以上続く傾向があります。
痛風:尿酸の結晶が関節内に析出し、急性の激しい炎症(痛風発作)を引き起こします。典型的には足の親指の付け根に突然の激痛、発赤、腫れが生じます。発作は単一の関節で始まることが多く、血液検査で高尿酸血症が認められます。
乾癬性関節炎(PsA):皮膚疾患である乾癬に合併する関節炎です。指全体がソーセージのように腫れる「指趾炎」や、爪の変化(点状の凹みなど)を伴うことが特徴です。
診断に用いられる検査と分類基準
関節リウマチの診断は、症状、診察所見、血液検査、画像検査の結果を総合的に評価して行われます。血液検査では、自己抗体である「リウマトイド因子(RF)」と「抗CCP抗体」を測定します。RFは他の疾患でも陽性になることがありますが、抗CCP抗体は関節リウマチに非常に特異性が高く、陽性であれば強くリウマチが疑われます。また、炎症の程度を示すCRPやESR(赤沈)も重要な指標です。
画像検査では、X線(レントゲン)で骨びらん(骨の欠損)や関節裂隙の狭小化といった進行した変化を評価します。しかし、初期の変化を捉えるには関節超音波(エコー)検査が非常に有用です。超音波検査では、滑膜の肥厚や炎症による血流増加(パワードップラー信号)をリアルタイムで視覚的に評価でき、X線では描出できない早期の炎症を発見できます。これらの所見を点数化し、2010年に米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)が共同で作成した分類基準を用いて診断の確度を高めます。

