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第2回アルパカ文学賞受賞記念 砂村かいりさんのトーク&サイン会に潜入!|砂村かいり

第2回アルパカ文学賞受賞記念 砂村かいりさんのトーク&サイン会に潜入!|砂村かいり

『飛距離の長い青春』も絶賛!

内田:タイミング的にこの話をしないわけにはいかないですよね。新刊の『飛距離の長い青春』です。先ほども砂村さんは短編が2作続いたっておっしゃっていましたが、今度は程よい長さの長編です。この作品も、手ごたえのある作品だと思うんですけど、どうですか。

砂村:久しぶりに取り組んだ長編ということもありましたし、テーマが医学部受験という少し重いテーマになっているので、書いていてそれこそ魂を削り出しているような感じでした。

内田:削って削って書いたんですね。

砂村:書き上げた時は魂が抜けたようで。それぐらい、注ぎ込んだものがありました。女子、男子、男子の三人が主人公で、テーマは医学部受験ですが、言ってみれば一人一人の人生の話でもあります。

内田:医学部ってすごく独特で、専門の予備校があったり、絶対に医者にならなきゃいけないって人生のレールが引かれていたりとか、背負うものが三人それぞれにあって、その三者三様の人間模様がものすごく見事に描かれている作品なんですけど。これも『飛距離の長い青春』ってタイトル、とっても良いですよね。

砂村:ありがとうございます。「飛距離の長い言葉」っていうフレーズが私の中にずっとあって。例えば大事な人と会って話した時に、何気なく言われた言葉がずっと自分の中に残って、影響が持続していることってありますよね。そういうのを「飛距離の長い言葉だなぁ」って思っていたんです。

小説幻冬のインタビューでもお話ししたのですが、はじめは作品の中で「ありがとう、いつも飛距離の長い言葉をくれて」っていうセリフを入れようと思っていたのに、うっかり忘れちゃったんです。だけど三人が過ごした時間丸ごとが、飛距離の長いものだっていうことに落ち着いたので、うまくまとまったんじゃないかなって思っています。

内田:やっぱり、砂村さんの眼差しがいいですよね。人生は何があるかわからないし、今いる場所、今見えているものだけに悲観しなくてもいいって、すごくいい考え方だと思いました。

砂村:本当に今だけじゃないよっていうことを書きたかったんです。逆に、今がいいから今後もずっといいわけじゃない。合格したら終わりじゃないし、不合格が不幸とは限らないっていう、色々な意味を込めて書きました。2年半ぐらいの、割と長いスパンを描いた、普通のお受験小説とはちょっと違う人生小説になっていると思います。

内田:実は、今日は重大発表がひとつあって。

砂村:え、何でしょう?

内田:『飛距離の長い青春』の第3回アルパカ文学賞ノミネートが決定しました!

(拍手)

砂村:え! ありがとうございます! でもすでに大賞をいただいたのに、いいんですか?

内田:普通の賞だと、大抵は大賞を取ったらもうノミネートしないんですよ。でもルールって誰が決めてるんだ? と考えてみたら、この賞のルールは僕が決めていいんです。今年、これを超える10冊は絶対出ないと確信しましたので、ノミネートさせていただきました。

僕が言っても全然説得力はないですが、僕と一緒に本屋大賞を作った本の雑誌社の杉江由次さんも大絶賛しているんです。砂村さんはすでにお読みだと思うんですけど、「今年度のベスト級」「砂村かいりはすごい作家になる」っておっしゃっていて。さらに杉江さんがSNSで、北上次郎さんのエピソードを書いていたじゃないですか。

北上次郎さんが砂村さんのデビューの時に『本の雑誌』の連載「新刊めったくたガイド」で、『スモールワールズ』の一穂ミチさんを紹介するのに続いて、「今月はもう一人、おすすめの作家がいる」ってことで砂村さんの名前を出されていて。現代を代表する批評家の北上さんがデビューの時から目をつけていて、その息吹を受け継ぐ杉江さんにも評価されているんです。杉江さんが『WEB本の雑誌』の連載「帰ってきた炎の営業日誌」でも紹介しています。それとは別で僕にもメールが来たんですけど「アルパカ文学賞なめてました」って言ったんですよ。

砂村:あはは。そうだったんですね。

内田:なめちゃいけないですよ、って言ったんですけど、「これまでの作品も読み直します」って。本当に、本読みがこの作品にしびれていて、『飛距離の長い青春』だけじゃなくて遡って読んでいる、まさに今注目の作家ですよ。ここにいらっしゃる皆さんは最前線にいるんで、鼻が高いですよ。

砂村:最古参の方々と言ってもいいですよね。

内田:そうですよ、先見の明があったことが証明されて、嬉しいですね。本当に砂村さんの作品は間違いがないですから。これからも我々のライフラインとして、いい物語をたくさん書いてくださいね。

*   *   *

この後、質疑応答やサイン会を行い、和やかに会は終了しました。サイン会では参加された方々お一人ずつと、丁寧にお話しされていた砂村さん。暖かな雰囲気で第3回アルパカ文学賞ノミネートをお祝いされていました。

本読みの方々も絶賛の砂村かいりさん『飛距離の長い青春』、ぜひお手に取っていただけると嬉しいです。 

配信元: 幻冬舎plus

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