会ったこともない子に、お金を貸す!?
そんなある日、息子が言いにくそうに切り出しました。
「あのさ……ちょっと、お金貸してほしいんだけど」
「えっ、お金!?」
理由を聞くと、「彼女がお金に困っているから、助けてあげたい」とのこと。
一瞬、言葉を失いました。
「ねぇ、少し冷静に考えてみよう」
もう悠長なことは言っていられません。
息子を傷つけることになっても、親子間に確執が生まれたとしても、彼と向き合い、話をしなければいけないと思いました。
「その彼女と、会ったこともないどころか、通話もできないんだよね。一度も声を聞いたこともない相手に、大切なお金を渡せないよ。はっきり言うね。あなた、騙されているんじゃない?」
息子は表情を強張らせ、しばらく黙り込んだのち、か細い声で言いました。
「ビデオ通話できるか、もう一度聞いてみる」
失った、淡い恋心
結局、通話を求めても相手ははぐらかし続け、やがて連絡が取れなくなったそうです。
突然ブロックをされたことに、息子は大きなショックを受けていました。
でも、彼もきっとどこかではわかっていたのではないでしょうか。
何度もおかしいと感じるタイミングはあったはず。
それでも、「初めての彼女」を、失いたくなかったのでしょう。
人見知りの自分にも、こんな可愛い彼女ができたんだ。
その事実を、否定したくなかったのだと思います。

