60代に入ってから、私はこれまで以上に家族との時間を大切にしたいと思うようになりました。少しでも妻や子どもたちの力になれたらという気持ちから、家事もできるだけ手伝うようにしていたのです。自分では、家族のために動けているつもりでした。ですが、その善意が思わぬ形で家族を困らせていたことを知り、私はとても恥ずかしい思いをしました。
家族のために始めた家事の手伝い
妻が忙しそうにしているときは、少しでも負担を減らしたいと思い、洗濯物を畳んだり食器を片付けたりしていました。
自分なりに「代わりにやっておいてあげよう」という気持ちで動いていたので、役に立てているはずだと思っていました。家族のためを思って動くことに、疑問を抱いたことはありませんでした。
娘のひと言で気付いた「ありがた迷惑」
ところがある日、娘から「お父さん、ありがたいけど、正直ちょっと困ってる」と言われたのです。
思いがけない言葉に驚き、理由を聞くと、私が良かれと思って片付けた物の場所が毎回違うため、家族が探すのに時間がかかっていたそうです。さらに、洗濯物の畳み方も私なりのやり方だったため、タンスにしまうときに結局やり直していたと聞かされました。
その瞬間、自分では手伝っているつもりだったことが、家族にとってはかえって手間になっていたのだと気付き、顔が熱くなるほど恥ずかしくなりました。

