プロ野球・広島東洋カープの元選手、羽月隆太郎被告(26)が指定薬物「エトミデート(通称:ゾンビたばこ)」を使用したとして、医薬品医療機器法違反の罪に問われた裁判。15日の初公判で羽月被告は起訴内容を認め、懲役1年、執行猶予3年の判決が言い渡された。
しかし、この法廷で羽月被告の口から飛び出した「周囲にも吸っているカープの選手がいた」という衝撃の供述が、球界に大きな波紋を広げている。この問題に対し、元法務省職員で犯罪学が専門のVTuber「犯罪学教室のかなえ先生」が16日の生配信で言及。犯罪心理や依存症の観点、そして一人のプロ野球ファンとして、事態の深刻さと被告の甘さを痛烈に斬り捨てた。
「裏切り者は言わなかった奴らだ」蔓延疑惑とコンプライアンスの欠如
法廷で他選手の関与をほのめかした羽月被告に対し、ネット上では「自分だけ助かろうと仲間を売った裏切り者」という批判の声も上がっている。しかし、かなえ先生の見解は異なる。
「球団は事件発覚後、選手たちを集めて『やっていないか』と聞き取りと注意喚起を行っているはず。そこで『実はやっていました』と名乗り出ず、自分が怒られたくない、クビになりたくないからと黙っていた奴こそが真の『裏切り者』です」
さらに、法廷で「他の選手も使っていたから大丈夫だと思った」と語った被告の思考回路を「甘すぎるし、頭が悪すぎる」と一刀両断。法律よりもコミュニティ内のルールを優先し、違法性を認識しながらも目先の快楽や逃避を選んだことについて、「ファンの思いや、先輩たちが築き上げてきた球団の歴史そのものを軽視する行為だ」と、プロ意識の欠如を厳しく糾弾した。
100万円分の購入は「完全に依存状態」
裁判では、羽月被告が約1年間で100万円近くエトミデートを購入していたことも明らかになった。この事実に対し、かなえ先生は「1年で100万円というのは、覚醒剤の常習者とほぼ変わらないレベル。完全に依存(ジャンキー)状態だ」と指摘。
自宅で一人で使用していた点にも触れ、「少年院や刑務所で聞いてきた薬物事犯者の共通点は『一人でやり始めたら終わり』ということ。当初は仲間内のコミュニケーションツールだったとしても、家で一人で隠れて吸い始めた段階で、完全に薬物に依存している証拠だ 」と、その深刻さを解説した。
逮捕を回避できた「最大の分岐点」と、虎ファンとして実力を認めていただけに…
かなえ先生が最も嘆いたのは、羽月被告が「最悪の選択」を繰り返し続けた点だ。
12月中旬に警察の家宅捜索を受け、尿検査で陽性反応が出たにもかかわらず、羽月被告は球団に一切報告せず、その後も1月末の逮捕直前まで使用を続けていた。「家宅捜索が入った段階で球団に正直に相談し、弁護士を入れて対応していれば、いきなり逮捕されて契約解除という最悪の事態は防げたかもしれない。なぜ監督や球団に助けを求められなかったのか 」と、孤立を深め自滅していった背景に思いを巡らせた。
かなえ先生自身は阪神ファンであることを公言しているが、広島戦で羽月被告が代走の切り札として出てくると「絶対に走ってくるからすごく嫌で厄介な選手だった」と、その実力を高く評価していたことを明かした。「それだけにチームからもかなり期待されていたはず」と、他球団の選手ながら一人のプロ野球選手として期待を寄せていただけに、今回の事件への落胆は大きい。
「薬物ごときで人生を潰すなといつも思う。アスリートにとって一番大事な商売道具である体を自ら傷つけ、社会的な信頼を一瞬で失った代償はあまりにも大きい」
執行猶予がつき、今後は「アルバイトから始めたい」と語った羽月被告。かなえ先生は「薬物依存は回復に時間がかかる。周囲の目を気にせず、実家など安心できる環境で家族の支援を受けながら、地道に生活と信頼を立て直していくしかない」と、セカンドキャリアの険しさを指摘しつつ、更生への道を諭すように配信を締めくくった。
球団が他選手への再調査に乗り出す中、カープの信頼回復の道筋は依然として見えない。

