⚫︎交際当初から説明をうけて了承していたなら
もっとも、法的評価において決定的に重要なのは、その事情が婚約に至るまでにどの程度共有され、2人の間でどのような認識・合意が形成されていたかという点です。
交際当初から奨学金の額や返済計画について具体的に説明し、相手がこれを理解・了承したうえで婚約に至っているのであれば、後になって同一の事情を理由として婚約を解消することは、法的にも正当化されにくく、正当な理由とは評価されにくいと考えられます。
⚫︎式場予約まで済んでいた…「信頼関係を著しく害する」
特に、今回は、婚約指輪の購入や式場の予約、親族への挨拶といった、社会通念上も婚約の成立を裏付ける具体的な準備が進んでいる段階において婚約破棄がなされたというケースです。
このような場合には、当事者間の信頼関係を著しく害する行為と評価されやすく、その違法性はより強く認められる傾向にあります。
もっとも例外として、当初の説明と実態に重大な齟齬があった場合や、返済負担が想定を大きく超え、共同生活の維持が著しく困難となるような新たな事情が判明した場合には、婚約破棄に一定の正当性が認められる余地もあります。この点は、個別具体的な事情を踏まえて慎重に判断されることになります。
【取材協力弁護士】
大西 信幸(おおにし・のぶゆき)弁護士
大阪府出身。平成18年3月立命館大学大学院法務研究科法曹養成専攻修了(法務博士)。平成19年9月新司法試験合格。平成20年12月大阪弁護士会登録(新61期)。平成21年1月〜23年12月大阪市内の法律事務所にて勤務弁護士、平成24年1月大西信幸法律事務所開設(代表弁護士)。令和元年5月法人化(弁護士法人ラポール綜合法律事務所)。離婚に関する書籍として「図解イラスト&事例でよくわかる!離婚後のトリセツ」(㈱カンゼン)を出版している。離婚問題のみならず、交通事故、相続問題、会社法務等、幅広く対応。所属:大阪弁護士会
事務所名:弁護士法人ラポール綜合法律事務所
事務所URL:https://rapport-law.com/

