放射線治療の費用は高額療養費制度の対象になるのでしょうか。メディカルドック監修医ががんの種類別の放射線治療費用と高額療養費の対象になるケース・ならないケースについて解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「高額療養費制度」を利用したときの「放射線治療の自己負担費用額」はいくら?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
がんの種類別|保険適用される放射線治療にかかる治療費用

いずれのがんでも、一連(1クール)の治療に対し、放射線治療管理・実施料や放射線治療専任加算などの費用がかかります。また、外来通院での照射1回ごとに外来放射線治療加算や体外照射治療料などもかかります。
最近では、従来よりも1回の線量を多くし、全体の照射回数を少なくする方法である寡分割照射がとられることもあります。この場合、1回線量増加加算が照射1回ごとに加わります。
乳がんの放射線治療にかかる費用の目安
乳がんに対する放射線治療は、乳房温存術後の乳房全体への照射、進行乳がんに対する乳房全摘後に胸壁と首のあたりまでに照射する胸壁鎖上照射などがあります。
回数は1日1回、週5回で、約4〜6週間かけて照射が行われます。温存乳房への寡分割照射の場合には1回約2.6Gyで16回、胸壁鎖上照射の場合には1回2Gyで25回照射などがあります。治療費は総計で約30万円となります。
また、乳がんが転移した部位に対する緩和的な照射もあります。1回3Gyで10回照射の場合には、10万円程度になるでしょう。
前立腺がんの放射線治療にかかる費用の目安
前立腺がんの放射線治療は、前立腺がんのリスクの高さに応じて変わってきます。IMRT(強度変調放射線治療)による通常の1回2Gy、39回照射の場合には、合計約130万円となります。また、前立腺がんに対する組織内照射の場合、総額約50万円となります。
肺がんの放射線治療にかかる費用の目安
手術の適応とならない非小細胞肺がんに対する化学放射線治療は、概算としては約30万円となります。小細胞肺がんの限局型に対する加速過分割照射の場合は、約20万円となります。
肝臓がんの放射線治療にかかる費用の目安
肝細胞がんに対して陽子線治療や重粒子線治療が保険適用となる場合があり、約200万円の費用がかかります。
転移性脳腫瘍の放射線治療にかかる費用の目安
ガンマナイフによる定位放射線治療は1回で約50万円、直線加速器による定位放射線治療は約60万円となります。
放射線治療の費用が高額療養費の対象になるケースとならないケース

放射線治療の費用が高額療養費制度の対象にならないケースもありますので、注意しましょう。
高額療養費制度の対象になる放射線治療
保険適用となる放射線治療の場合には、基本的には高額療養費制度の対象になります。
高額療養費制度の対象にならない放射線治療
保険適用でなく、先進医療として行われる放射線治療は高額療養費制度の対象となりません。
例えば、2024年6月時点では、先進医療Aとして実施される陽子線治療や重粒子線治療が該当します。脳脊髄腫瘍や頭頸部腫瘍、肺縦隔腫瘍、消化管腫瘍、泌尿器腫瘍、転移性腫瘍などさまざまなものがあります。
高額療養費制度の対象とならないような放射線治療については、今後も変更があるかもしれません。随時、チェックしていくようにしましょう。

