大腸がんの初期症状はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が大腸がんの概要と初期症状について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「大腸がんは血液検査」で発見できるのか?5つの初期症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
大腸がんとは
大腸がんが発生するのは内面の粘膜上で、そこから外面の漿膜(しょうまく)に向かって浸みるように広がり(浸潤=しんじゅん)ます。さらにリンパ液や血液に乗って遠くの臓器に転移したり、腹腔を覆う腹膜上に散らばったりして広がります。
がんが発生しやすいのは肛門に近い直腸とS字結腸で、この2部位で70%以上を占める高率です。
大腸がんの5年相対生存率は約75%と高く、転移のない限局性大腸がんに限ると97%に達します。この事実は、転移していない早期に発見して治療すれば、完治が見込めるがんであることを示しています。
大腸がんの初期症状
大腸がんでは早期のうちは無症状である場合がほとんどです。進行するにつれて初期症状が表れますが、がんの発生場所や進行状態により症状はまちまちです。以下で主な症状を解説します。
便の性状変化
正常だった便通が乱れ、便秘や下痢が多くなったという場合、それは大腸がんの影響かもしれません。お腹の左側のS字結腸や直腸付近では、便の水分が吸収されて硬い便が通ります。
ここにがんが発生すると便が通りにくくなるため、細い便が出たり便秘になったり、何度も排便を繰り返す下痢のような症状が出ることもあります。
血便・便秘
自覚症状がない早期の大腸がんでも、微量の出血が発生している場合があります。このような出血は目視することが難しく、便潜血検査によって発見されます。
進行するにつれて目視できる程度に出血が増えたのが血便です。
がん組織の増殖で大腸内壁が狭くなり便の通りが悪くなると、便秘の症状も出てきます。
お腹のハリ・痛み
がんの病巣によって便やガスの通りが悪くなると、腹部のハリ・痛みの症状が感じられます。主に硬い便が通る下行結腸やS字結腸にがんがある場合におこる症状です。
初期のうちは便やガスによるハリ・痛みですが、大腸がんが進行した場合は腹水によるハリ・痛みもあります。
体重減少
何も思い当たる理由がないのに体重が減る場合、大腸がんに限らずがんの疑いがあります。がん細胞が増殖するために、身体から脂肪やタンパク質などの栄養を消費して体重が減るためです。体重減少が続く場合には症状が進行している可能性があります。
嘔吐
嘔吐は腹痛と同じく、大腸がんによって大腸内壁が狭まることで見られる症状です。身体の左側にある下向結腸・S字結腸・直腸に病巣がある場合に多くみられます。
貧血
がん組織には栄養を取り込むための血管が作られますが、もろく出血しやすい血管です。大腸がんでも早期から慢性的に出血が続くため、ヘモグロビンが不足する鉄欠乏タイプの貧血になります。
通常は血便・下血が先に現れ、倦怠感・立ちくらみ・動悸などの貧血症状はさらに進行してから表れます。

