「家族」をやめる決意
私は何も問い詰めませんでした。
その代わり、高価な贈り物や援助をやめ、少しずつ距離を置くことにしました。
すると沙織さんは、すぐに変化に気づいたようです。
「最近、お義母さん元気ないですね」
「何か私、失礼なことしました?」
そう探るように尋ねてくる声に、焦りがにじんでいました。
「ああ、この子にとって私は家族ではなく、ただの金づるだったのね」
怒りを通り越して、心は氷のように冷えていきました。
それなら、こちらも無理に尽くす必要はありません。
これまで「子どもたちのために残しておかなければ」と節約してきたお金を、私は自分のために使うことにしました。
前から行きたかった旅行を予約し、気になっていた習い事にも通い始めました。
我慢ばかりしてきた時間を、取り戻すような気持ちでした。
自分のために使い切る自由
ある日、沙織さんが私の着物を指して「お義母さん、そのお着物素敵ですね! いつか私にも……」と遠回しにねだってきました。
私は笑って答えました。
「そうお? でもこれ気に入ってるから、私が死ぬまで着倒すことに決めたの」
沙織さんは一瞬、言葉を失ったように黙り込みました。
相手の本性を知ることは、時に絶望を伴います。
けれど私は今、ようやく自分の人生を自分のものとして生きる自由を手に入れた気がしています。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

