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タンパク質制限のしすぎは逆効果? eGFR低下時に筋肉を減らさない「正しい食事術」

タンパク質制限のしすぎは逆効果? eGFR低下時に筋肉を減らさない「正しい食事術」

タンパク質は身体に欠かせない栄養素ですが、腎機能が低下している方にとっては摂り過ぎが腎臓への負担につながる可能性があります。なぜ制限が必要なのか、どの程度が適切なのかを正しく理解することが、食事療法を無理なく続けるための第一歩です。本記事では、タンパク質が腎臓に与える影響と、CKDのステージ別の摂取目安量について詳しく解説します。

田中 茂

監修医師:
田中 茂(医師)

2002年鹿児島大学医学部医学科卒業 現在は腎臓専門医/透析専門医として本村内科医院で地域医療に従事している。
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学

eGFR値低下とタンパク質制限:制限が必要な理由と目安量

タンパク質制限は、減塩と並ぶCKD食事療法の中心的な柱です。しかし、タンパク質は体を構成する必須栄養素でもあるため、なぜ制限が必要なのか、どの程度が適切なのかを正しく理解し、医師や管理栄養士の指導のもとで慎重に進める必要があります。

タンパク質が腎臓に負担をかけるメカニズム

タンパク質は体内で利用された後、最終的に尿素窒素などの身体に有害な老廃物(尿毒症毒素)に分解されます。これらの老廃物は腎臓でろ過されて尿中に排泄されますが、腎機能が低下していると、これらを十分に処理しきれず体内に蓄積してしまいます。これが倦怠感や食欲不振などの尿毒症症状の原因となります。また、タンパク質を多く摂取すると、腎臓が老廃物を排泄しようと過剰に働き、糸球体内の圧力が高まる「糸球体過剰ろ過」という状態を引き起こします。この状態が長期にわたると、糸球体そのものが疲弊し、腎機能低下をさらに加速させてしまいます。タンパク質制限は、これらの負担を軽減し、腎機能の温存を図るために行われます。

ステージ別のタンパク質摂取目安量

CKDのタンパク質摂取量の目安は、病気のステージや個々の体格によって異なります。日本腎臓学会のガイドラインでは、G3a(eGFR 45〜59)では標準体重1kgあたり0.8〜1.0g/日、G3b〜G5(eGFR 45未満で透析未導入)では0.6〜0.8g/日が推奨されています。すでに透析治療(血液透析・腹膜透析)を受けている方は、低栄養を防ぐためにタンパク質制限は解除され、むしろ十分なタンパク質摂取(1.0〜1.2g/kg/日程度)が推奨されます。
標準体重は「身長(m) × 身長(m) × 22」で計算します。例えば身長160cmの方の標準体重は約56kgなので、G3bであれば1日のタンパク質摂取量は33.6g〜44.8gが目安となります。ただし、制限が厳しすぎると筋肉量が減少し、かえって体力を落とす「低栄養」状態に陥る危険があります。必ず担当医や管理栄養士の指導のもとで、個人に合った目標量を設定することが極めて重要です。

タンパク質制限中の食品選択と栄養バランスの保ち方

タンパク質を制限しながら、体に必要なエネルギーや他の栄養素を十分に確保するには、食品の選び方と食事全体の構成に工夫が求められます。制限の中でも食事の質と満足度を維持するための具体的な方法を確認しましょう。

タンパク質を含む食品の種類と制限時の選び方

タンパク質は、肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆)、乳製品といった主菜になる食品に多く含まれます。制限がある場合でも、これらを完全に排除するのではなく、「良質なタンパク質を適量摂る」ことが重要です。良質なタンパク質とは、体内で作れない必須アミノ酸をバランス良く含むものを指します。食材ごとのタンパク質量を把握し、1日の合計量が目標範囲に収まるように管理します(例:卵1個約6g、鮭1切れ約15~20g)。食品交換表や栄養計算アプリなどを活用すると、日々の管理がしやすくなります。

エネルギー不足を防ぐための炭水化物・脂質の活用

タンパク質を制限すると、食事全体のエネルギー(カロリー)量が不足しがちです。エネルギーが不足すると、体は自らの筋肉を分解してエネルギー源として利用しようとします。これにより筋肉量が減少し、体力が低下するだけでなく、筋肉分解によって老廃物が生じ、かえって腎臓に負担をかけてしまいます。これを防ぐため、タンパク質を含まない炭水化物(ご飯、パン、麺類)や脂質(植物油、マヨネーズなど)から十分なエネルギーを確保することが極めて重要です。治療用特殊食品である「低タンパクごはん」や、エネルギー補給用の食品(粉飴、でんぷん製品など)を調理に活用するのも非常に有効な方法です。

配信元: Medical DOC

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