五十肩と食事の関係は、見落とされがちなテーマのひとつです。青魚に含まれるオメガ3脂肪酸やビタミンC、ポリフェノールといった栄養素には、炎症の抑制や組織の維持をサポートする働きが期待されています。一方で、糖質の過剰摂取やトランス脂肪酸、アルコールは炎症を促進する可能性があります。薬物療法やリハビリと並行して、毎日の食生活を見直すことも回復を後押しする一助となるでしょう。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
五十肩と食事の関係|炎症を抑える食べ物
食事と五十肩の関係は、見落とされがちなテーマです。五十肩そのものに対する特異的なエビデンスは限定的ではあるものの、抗炎症作用が期待される栄養素を意識して摂取することは、炎症の抑制に寄与する可能性があります。薬物療法やリハビリと並行して、日々の食生活を見直すことも一つのサポートにつながるでしょう。
抗炎症作用が期待される栄養素と食品
五十肩では肩関節周囲に炎症が起こるため、食事にも関心を持つ方は少なくありません。現時点では、特定の食品によって五十肩そのものが改善することを示す明確な医学的エビデンスは限定的ですが、一般的に抗炎症作用や組織修復への関与が期待される栄養素を、バランスよく摂取することは健康維持の観点から重要と考えられています。
例えば、青魚(サバ・イワシ・サンマなど)に含まれるオメガ3脂肪酸は、炎症に関わる物質の働きに影響を与える可能性がある栄養素として知られています。また、ビタミンCはコラーゲンの合成に関与し、身体の組織維持を支える栄養素です。パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、柑橘類などに多く含まれています。
さらに、緑茶やブルーベリー、玉ねぎなどに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があるとされており、日常的な食生活に取り入れやすい食品です。ただし、これらはあくまで健康管理を支える一要素であり、五十肩の治療は医療機関での診断やリハビリ、薬物療法などを基本として考えることが大切です。
ビタミンDと肩関節の健康
ビタミンDは骨や筋肉の健康に関わる栄養素として知られていますが、免疫調節や抗炎症作用にも関与していることが報告されています。ビタミンD不足は筋骨格系の痛みや炎症と関連するとの研究もあり、五十肩との関わりについても注目されています。
ビタミンDは食品からの摂取と日光(紫外線)への暴露によって身体内で合成されます。食事からは、サケ、サンマ、ニシン、しいたけなどから摂ることができます。冬季や室内での生活が長い方はビタミンDが不足しやすいため、食事での意識的な摂取が助けになります。ただし、過剰摂取は身体に悪影響をもたらす場合があるため、サプリメントを活用する際には医師や管理栄養士に相談することが望ましいです。
五十肩を悪化させる可能性のある食べ物と飲み物
炎症を促進する可能性のある食品や生活習慣について知ることも、五十肩の経過管理において意義があります。意識的に避けることで、症状の長期化を防ぐ一助となりえます。
炎症を促進しやすい食品とは
糖質の過剰摂取は身体全体の炎症を高める可能性があるとされています。精製された糖類(砂糖・白米・白パンなど)を大量に摂取すると、血糖値が急激に上昇し、炎症性サイトカインの産生を促すことがあるとの研究が報告されています。五十肩の経過中は、糖質の量と質に注意することが一つの視点となります。
トランス脂肪酸を多く含む食品(マーガリン、一部のファストフード、市販の揚げ菓子など)も炎症を促進する可能性があるとされています。また、オメガ6脂肪酸を多く含むサラダ油の過剰摂取は、オメガ3脂肪酸とのバランスを崩し、炎症が生じやすい状態を招くことがあるといわれています。これらを「完全に禁止する」必要はありませんが、バランスを意識した食事が大切です。
アルコールと五十肩への影響
アルコールの過剰摂取は全身の炎症を悪化させる可能性があります。肝臓での代謝過程でアルコールが炎症性物質の産生を高めることがあり、五十肩のような炎症性疾患においては症状を長引かせるリスクがあるとされています。また、アルコールの利尿作用は脱水を招き、関節液(かんせつえき)の分泌低下につながることも懸念されます。
さらに、飲酒による睡眠の質の低下は夜間痛をより強く感じさせる可能性があります。アルコールは入眠を促すように感じられますが、睡眠の深さが浅くなり、夜中に目が覚めやすくなるといわれています。五十肩の夜間痛に悩む方にとっては、飲酒の量と頻度を見直すことが回復の助けになるかもしれません。

