放送中のNHK連続テレビ小説「風、薫る」(総合ほか)に詐欺師の寛太役で出演している藤原季節へのインタビュー。その模様を2回に分けて紹介する。
朝ドラ「風、薫る」とは?
大関和と鈴木雅という実在した2人のトレインドナース(正規に訓練された看護師)をモチーフにした朝ドラ。激動の明治時代、まったく違う境遇に生まれ、それぞれ生きづらさを感じていた2人の女性・一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が、未開の看護の道を切り開いていく姿を描く。「あなたのことはそれほど」「病室で念仏を唱えないでください」「くるり~誰が私と恋をした?~」などの連ドラで知られる吉澤智子さんが脚本を書き、Mrs. GREEN APPLEが主題歌「風と町」を歌う。
軍人の役づくりが詐欺師・寛太の役づくりに直結
――汚れ役とも言える寛太役のオファーを受けた心境と、実際に演じてみての感想を
「いわゆる汚れ役ですが、本当にうれしかったです。一筋縄ではいかない人物を演じられること、しかも朝ドラというフィールドの中で、今まで自分がインディーズ作品などで培ってきたものを、多くの人が見るドラマで出せるというのがうれしくて。なので、小日向という海軍中尉を演じている時よりも、寛太になった時は本当に精神的にのびのびと、解放されたような気持ちでお芝居ができた感じがします」
――詐欺師として人を騙す芝居に難しさはありますか?
「ありました。小日向中尉を演じている時は、自分は偽りの笑顔で話しかけているのに相手は本当の笑顔を出してくれるという食い違いにストレスを感じていて、詐欺師ならではの苦しさもあるんだなと思いました。海軍中尉をやるにあたって、寛太も見様見真似で海軍の挙動などをやっていたと思うので、海軍の軍人を演じている方の資料などを自分で集めました。本木雅弘さんが主演を務めたドラマ『坂の上の雲』(2009~11年)を見て勉強していたんですが、小日向もそういうふうに研究していたんじゃないかと思って、その時間が役作りに直結したと感じています」
――軍服の着心地は?
「自分としてはあんまり似合ってないと感じていて、寛太を演じている時の着流しの居心地が良かったです。衣装に着られている感や帽子を被っている違和感を感じて『どうもビシッと決まりが悪いな』と思っていました。でもそれって寛太を演じるうえではちょうどいいんじゃないかと思って。本来なら綺麗に刈り込むことで帽子がフィットするんですが、寛太の場合はツメが甘いから、もみあげが微妙に長かったりというアンバランスさがあるんです。それが視聴者の方にも『違和感はそうだったのか』というふうにつながったかなと思います」
正体がバレた時の反応で寛太の人生経験や器を表現
――寛太に共感できるところはありますか?
「きっと寛太自身にも複雑な内面や生まれた事情があると思いつつ、それを誰かに打ち明けたり弱音を吐いたりしてこなかった人だと思うんですよね。直美さんという人間に出会って、完全に蓋をしていた部分が少しずつ開いていく機微を演じたいと思っていました」
――正体がバレた時の「ニヤッ」とした笑顔が印象的でしたが、意識したことはありますか?
「バレた時の反応は難しく、コメディ的に演じることも可能でしたが、そこでのリアクションに寛太の人生経験や器が出ると思いました。ここで『やっぱバレた』となってしまう人間なら今後直美さんとお付き合いが続くことはない。『開き直り』という要素を大事にし、『確かに自分も悪いことをしたけどあなただって嘘をついたじゃん』と瞬間的に開き直れる能力を見せたかったんです。『自分は悪いことしてない』という表明をしたくて、あの『残念だったね』というキャラクターでいたかったんです。
――団子屋のシーンで直美と話すのが楽しそうに見えました
「今までお互いに身分を偽った嘘の会話だったのが、あの瞬間に嘘がめくれてやっと本心の会話になりました。直美さんと本心での会話の応酬ができるのは、寛太にとってはすごく楽しかったと思います」
(つづく)
【後編】“寛太”藤原季節は上坂樹里の朝ドラヒロイン就任を予言していた!

