動き出した先に
「これは何か行動しなければ」と思いました。
実は私たちは以前、先輩保護者も含め総勢15名で事業所に「支援員の暴言改善」や「安易な退所勧告の中止」を求める要求書を提出したことがありました。施設長も非を認め、接遇研修の実施などを約束。
その後しばらくは雰囲気も良くなり、子どもたちも笑顔で通えていた時期があったのです。
「子どもたちのために、もう一度環境を整えてほしい」
そう願った私は、ママ友に相談して先輩ママたちと集まるランチの場を設けてもらいました。
しかし当日、会場に現れたのは私一人だけ。
せっかく私も勇気を出し、他のママさんも動いてくれたのですが、集まることの難しさを痛感する結果となりました。
孤独な一歩が残したもの
正直なところ、少し落ち込みました。
しかし翌朝、気持ちを整理しながら改めて考えました。
重い障害を持つ子の育児は、毎日が戦場です。
声を上げる余裕すら奪われるほど皆、日々の生活を守ることで精一杯なのだと同じ親として痛いほど分かったのです。
しかし私は、いつか同じ悩みを抱える親たちの支えになれる日を信じて、諦めずにいようと思います。
それは、事業所を一方的に糾弾するためではありません。
子どもたちが「自分はここにいていいんだ」と思える居場所を施設側と共に取り戻すためです。
まず一人でも、建設的な対話を求めて声を上げ続けること。それがいつかまた大きな力に変わると信じ、今は長男と共に一歩ずつ進んでいこうと思います。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

