パドレス0-4ドジャース(20日、サンディエゴ)打っては本塁打、投げては無失点。ファンが待ち望んでいた「完全体・大谷翔平」が帰ってきた。米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(31)は20日(日本時間21日)、敵地でのパドレス戦に「1番・投手兼DH」で先発。メジャー史上初となる『投手によるプレーボール本塁打』を放つと、マウンドでは5回無失点の粘投で今季4勝目を挙げた。圧倒的なパフォーマンスでチームの勝利に貢献した一方で、今季初めて6回を投げ切れず、規定投球回には未到達。投手最高の栄誉である「サイ・ヤング賞」獲得に向け、二刀流起用に伴う“投球回数の壁”という新たな課題も浮き彫りになっている。
同地区ライバルとの首位攻防第3戦。4月22日(同23日)以来、約1カ月ぶりとなる投打二刀流で臨んだ大谷が、いきなり打撃で魅せた。
一回、プレーボール直後の第1打席。今季5勝のパドレス先発右腕バスケスが投じた初球、内角高めの95.5マイル(約153.7キロ)の直球を上からたたくように振り抜く。高々と舞い上がった打球は、長い滞空時間を経て右中間席最前列へと飛び込んだ。
データ解析システム「スタットキャスト」によれば、飛距離は405フィート(約123.4メートル)、打球速度は111.3マイル(約179.1キロ)を計測した。MLB公式サイトのサラ・ラングス記者は、これが「先発投手が放ったMLB史上2度目の先頭打者本塁打」であると伝えた。1度目は昨季のナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦で大谷自身が放ったアーチだが、当時は本拠地での裏の攻撃だった。今回のような、ビジターゲームでしかも初球を捉えた『投手によるプレーボール弾』は、長いメジャーリーグの歴史においても史上初の快挙だ。
立ちふさがる「投球回」の壁…タイトル獲得へ起用法が再議論か
歴史的な一発で自らを援護したマウンド上の大谷は、序盤は完璧な立ち上がりを見せた。3回までは打者9人をパーフェクトに抑え込む。四回、五回はピンチを背負いながらも要所を締めて無失点で切り抜けたが、球数を要し五回終了時点で88球に達していた。
今季ここまでの7登板ではいずれもQS(クオリティ・スタート:6回以上を自責点3以下)をマークしていたが、デーブ・ロバーツ監督は六回から2番手エンリケスへの交代を決断。四、五回に連続してピンチを招いたことや、DHとして打席にも入り体力の消耗が激しいことが考慮されたとみられる。しかし、今季初めて6回を投げられなかったことで、大谷は規定投球回数にわずか1イニング届かなくなった。
ここで今後の懸念材料となるのが、サイ・ヤング賞をはじめとする投手部門の賞レースである。
投手を評価する上で「投球回数」は極めて重要な要素となる。6人ローテーションで回り、DHも兼任する大谷は、5人ローテーションで回るスキーンズ(パイレーツ)やサンチェス(フィリーズ)、ミジオロウスキー(ブルワーズ)といった強力なライバルたちと比べ、シーズンを通しての投球回数で大きな差をつけられることになる。
もっとも、この日の大谷は「打っては本塁打、投げては無失点」と投打にわたって最高のパフォーマンスを発揮した。しかし、投手としてのタイトル獲得を現実的に考えた場合、イニングを少しでも多く消化するために「登板日の投手専念」などが再び議論の的となる可能性は十分にありそうだ。
