ANCA関連血管炎の治療薬タブネオスについて、投与後に重篤な肝機能障害や死亡例が国内で報告されたことをキッセイ薬品工業株式会社が発表しました。また、同社は新規投与の見合わせを医療者に要請しています。この内容について後平先生に聞きました。

監修医師:
後平 泰信(医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院)
2009年に旭川医科大学医学部を卒業。循環器内科のスペシャリストとして、長年、札幌東徳洲会病院を中心に救急医療や心疾患の治療に従事。2023年には睡眠・無呼吸・遠隔医療センター長を歴任し、最新技術を用いた診療体制の構築に尽力。2024年より病院長に就任し、2025年10月の「札幌もいわ徳洲会病院」への名称変更。日本循環器学会 認定循環器専門医。日本睡眠学会 総合専門医・指導医。日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。日本内科学会 認定内科医。
キッセイ薬品が発表した内容とは?
編集部
キッセイ薬品が発表した内容を教えてください。
後平先生
キッセイ薬品は、2022年の販売開始以降、ANCA関連血管炎(免疫の異常により血管に炎症が起きる病気)である顕微鏡的多発血管炎(MPA)および多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の治療薬「タブネオス(アバコパン)」を服用した患者さんで、重篤な肝機能障害が認められた症例が複数報告されたことを発表しました。なかでも胆管消失症候群は国内で22例報告され、そのうち13例が死亡に至っています。また、肝機能障害全体では国内で20例の死亡が報告されました(2026年4月27日時点、国内推定使用患者数8503人)。同社はこの状況を受け、患者さんの安全を最優先に考え、当面の間、新たな患者さんへの投与を控えるよう医師に要請しました。また、すでに同薬を服用中の患者さんは、肝機能障害のリスクや他の治療法について医師から十分な説明を受けたうえで、服用を続けるかどうかを慎重に判断するよう呼びかけています。
ANCA関連血管炎とは?
編集部
ANCA関連血管炎について教えてください。
後平先生
ANCA関連血管炎は、免疫の異常によって全身の細い血管に炎症が起こり、腎臓や肺、皮膚など多臓器に障害をもたらす病気です。重症化すると透析治療が必要になる場合もあります。国内患者数は約20000人と少なく、指定難病に登録されています。特徴的な症状が出にくいため早期発見が難しく、診断確定まで3カ所以上の病院を受診した患者さんも約半数にのぼります。血液中のANCA(自己抗体)測定が早期発見の鍵となります。現状完治は見込めず、長期的な治療が必要です。ただし早期に治療を始めれば、多くの場合、症状を抑えることができます。気になる症状がある場合は、早めに血管炎を専門とする医師のもとを受診しましょう。

