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「慢性胃炎」が“胃がん”になる前に見逃してはいけないサインとは?【医師解説】

「慢性胃炎」が“胃がん”になる前に見逃してはいけないサインとは?【医師解説】

慢性胃炎は長く続くと胃の粘膜が傷つき、放置すれば胃がんへと進展するリスクが高まります。しかし初期の段階では自覚症状が乏しいため、見逃されやすいのが実情です。どのようなサインに注意し、どのようなタイミングで受診すべきなのでしょうか。そこで、慢性胃炎から胃がんに進行する仕組みや見逃してはいけない症状、予防法について、成田クリニックの成田礼先生に聞きました。

※2025年10月取材。

成田 礼

監修医師:
成田 礼(成田クリニック)

平成18年産業医科大学卒業。平成20年熊本大学病院消化器内科入局。平成21年熊本地域医療センター消化器内科レジデント、平成23年 熊本労災病院消化器内科医員、平成25年 熊本大学病院消化器内科医員、平成29年 水俣市立総合医療センター消化器センター長、消化器内科部長を経て令和6年4月より現職。熊本大学大学院生命科学研究部生体機能病態学分野消化器内科学講座非常勤医師、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、産業医。

慢性胃炎が胃がんになるときの前兆や症状は?

慢性胃炎が胃がんになるときの前兆や症状は?

編集部

慢性胃炎とは、どのような状態なのでしょうか?

成田先生

慢性胃炎とは、胃の粘膜に炎症が長期間続いている状態を指します。多くはピロリ菌感染が原因で、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、炎症が長く続くことで胃粘膜が弱り、萎縮が進行していきます(萎縮性胃炎)。この状態が長く続くと胃の粘膜が腸に置き換わり(腸上皮化生)、胃がんの発生リスクが高まることが分かっています。

編集部

萎縮性胃炎と慢性胃炎は、どう違うのですか?

成田先生

一般には「慢性胃炎」という言葉のほうがよく知られていますが、医学的に見ると、その多くは「萎縮性胃炎」を指しています。胃の粘膜が長い時間をかけて薄くなっていく状態で、原因の大半はピロリ菌の感染です。

編集部

胃がんに進行する前に表れやすい症状はありますか?

成田先生

残念ながら、明確な前兆症状が出ることは多くありません。ただし、胃の重苦しさ、食後のもたれ、少し食べただけでお腹がいっぱいになる早期満腹感、食欲低下などが続く場合は注意が必要です。これらは慢性胃炎でも起こる症状ですが、以前と比べて症状が変わった、あるいは悪化していると感じる場合は、胃カメラなどの精密検査を検討すべきサインだと考えましょう。

編集部

何らかの異変が続いたら要注意ですね。

成田先生

はい。それから原因不明の体重減少が見られたり、貧血や黒っぽい便などが見られたりした場合には、胃の出血や進行した病変のサインである可能性があります。また、胃痛がないから大丈夫と考えるのも危険です。胃がんは痛みを伴わないことも多いのです。

編集部

症状がない場合でも注意は必要ですか?

成田先生

はい。慢性胃炎から胃がんへは、症状がないまま進行するケースが少なくありません。特にピロリ菌感染が一度でもあった人や、萎縮性胃炎を指摘されている人は、症状の有無に関わらず定期的な胃カメラ検査が重要です。「年齢のせいで消化力が落ちた」「胃が弱くなった」などと自己判断せず、念のため医師の診察を受けるようにしましょう。

なぜ、慢性胃炎が胃がんになるのか?

なぜ、慢性胃炎が胃がんになるのか?

編集部

なぜ慢性胃炎が胃がんにつながるのでしょうか?

成田先生

先ほどもお話ししたように、やはりピロリ菌によって胃の粘膜に長年炎症が起き続けることが一番の要因です。粘膜が「傷ついては治る」という修復を何度も繰り返すうちに、細胞にコピーミスのような異常が起こりやすくなり、それが胃がんの発生へとつながります。つまり、炎症が長く続くことそのものが、がんを招く大きな原因になるのです。

編集部

ピロリ菌に感染したことがない場合でも胃がんになりますか?

成田先生

頻度は低いものの、可能性はあります。加齢、喫煙、塩分の多い食事、家族歴なども胃がんのリスク因子です。ただし、日本における胃がんの多くはピロリ菌感染と関連しているため、まずは感染の有無を知ることが非常に重要です。なお、ピロリ菌未感染者の胃がん発生は多くないため、現時点ではそこまで問題とはされていませんが、予防や早期発見のあり方については、今後の課題となっています。

編集部

ピロリ菌感染が原因となって萎縮性胃炎になり、胃がんの発症につながる、ということですね。

成田先生

はい。萎縮性胃炎は、ピロリ菌を原因として慢性的に炎症が起こることによって胃の粘膜が薄くなり、胃酸や消化酵素を分泌する細胞が減少した状態です。これが胃がんを招く下地になり、萎縮が強いほど胃がんのリスクは高くなります。

編集部

慢性胃炎がある人は、必ず胃がんになりますか?

成田先生

いいえ、必ずなるわけではありません。しかしリスクが高くなるのは事実です。研究により、慢性胃炎がある人は胃がんの発症リスクが約5倍になるということが明らかになっています。

配信元: Medical DOC

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