認知症は治せる? 今日からできる予防と心がけ
編集部
認知症は治療が可能な病気なのでしょうか?
河村先生
認知症の中には、原因によって治療や改善が期待できるものがあります。例えば、甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症、正常圧水頭症などに伴う認知機能低下では、原因に対する治療で症状が改善することがあります。一方、アルツハイマー病などでは完全に元に戻すことは簡単ではありませんが、進行を抑える治療や、早期段階での介入が重要になっています。近年は、MCIや早期アルツハイマー病を対象とした新しい治療も登場しており、診断の意義はますます大きくなっています。加えて、薬だけでなく、身体活動や生活習慣の見直し、周囲の支援体制を整えることも、認知機能を長く保つうえで重要です。
編集部
物忘れや認知症を予防するために、日常生活でできることはありますか?
河村先生
予防の観点で特に大切なのは、まず運動習慣を保つことです。身体活動は認知症予防に関わる重要な要素であり、運動不足は修正可能なリスク因子の一つとされています。また、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を適切に管理することも非常に大切です。さらに見落とされがちなのが、社会とのつながりです。孤独や社会的孤立は認知症のリスクを高めることが示されており、家族や友人との会話、地域活動や趣味の場に参加することは脳の健康にもつながります。
編集部
物忘れや認知症について、「これは覚えておいてほしい」という大切なポイントがあれば教えてください。
河村先生
ぜひ覚えておいていただきたいのは、認知症の診断や治療の目的は、単に病名をつけることではないという点です。大切なのは、できるだけ長く自立した生活を送り、ご本人らしい時間を保つことです。そのためには、早めに相談し、治療可能な病気を見逃さず、必要に応じて生活習慣や支援体制を整えることが重要です。加えて、難聴も認知症リスクと関連することが分かっており、聞こえにくさを放置しないことも大切です。まだ大丈夫だと考え、我慢せず、気づいた時点で相談することが、将来の自立につながります。
編集部まとめ
物忘れは加齢による変化だけでなく、認知症や治療可能な病気のサインである場合もあります。特に、同じことを繰り返す、出来事そのものを忘れる、生活に支障が出るといった変化は注意が必要です。早期に受診することで、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の段階で気づき、進行を遅らせるための対応ができる可能性もあります。一人で判断せず、違和感があれば医療機関に相談することが大切です。本稿が読者の皆様にとって、受診を考えるきっかけとなりましたら幸いです。

