スペースオペラの最高峰「スター・ウォーズ」シリーズ、7年ぶりとなる劇場版最新作「スター・ウォーズ/マンダロリアン&グローグー」が公開され、メガホンを取ったジョン・ファヴロー監督が来日。インタビューの後編では、特撮レジェンドが手掛けるクラシカルなストップモーション・アニメーションを大胆に取り入れた意図や、映画だからこそ可能となった挑戦、シリーズ生みの親であるジョージ・ルーカスから受け取ったメッセージなどを語ってくれた。
伝説のアニメーター、フィル・ティペットも参加
――今回、エンドクレジットにフィル・ティペット(※ハリウッドのトップモーション・アニメーター)の名前を見つけて大興奮しました! 劇中の巨大な2体のドロイドが戦うシーンは、やはり彼が手掛けたのですか
ファヴロー「(うれしそうに)そうだよ! よく気づいてくれたね。あの2体のドロイドのシーケンスは、すべて彼が手掛けたストップモーション・アニメーションなんだ。ほら、スマホにある実際のテスト映像を見せてあげるよ。実際の人形はこのくらいの大きさでね。何度も調整を重ねることで、最終的には信じられないほど滑らかな動きへと進化していったんだ。本当に素晴らしい仕事だよ。
フィルは過去の『スター・ウォーズ』作品の特撮も支えてきたレジェンドであり、今回、彼と一緒に仕事ができて本当に興奮した。本作には人間味のあるキャラクターはそれほど多く登場しない代わりに、たくさんのモンスターやパペットが登場する。ある種『モンスター映画』のような側面もあるんだ。それにあなたが感動してくれたのは本当にうれしいな! だって私もモンスターやパペット、あるいは職人技の手作りの映画が大好きだからね(笑)。ストーリー自体は新しい観客のために非常にシンプルで間口を広く作ってあるけれど、こういったディテールや撮影テクニックのこだわりは、映画オタクたちに向けたラブレターなんだよ」
――映画になったことで予算も大幅にアップしたかと思います。予算と時間に余裕ができたことで、新しくチャレンジできたことはありますか
ファヴロー「予算だけでなく、時間が増えたことが何よりの強みだったね。例えば、ドラマシリーズでは数ショットしか出せなかったCGキャラクターを、今回は多くのセットピースやアクションシーンに関わるメインキャラクターの一人として、高いクオリティで描き切ることができた。
何より一番大きかったのはロケーションだね。ドラマシリーズのときはスタジオのサイズに収まるセットしか作れなかった。しかし今回は、スタジオを飛び出して、雪山やリアルな山脈、海岸など、世界中の様々な場所へ飛び、視覚効果のための実写パートを撮影することができた。本物のロケーション撮影を取り入れられたことは、ドラマでは決してできなかった最大のチャレンジであり成果だね」
生みの親、ジョージ・ルーカスからつながる真髄とは?
――最後に、ジョージ・ルーカスはこの映画をもうご覧になりましたか。もし見せていたら、どのような反応だったか教えてください
ファヴロー「私が知る限りでは、ジョージはまだこの映画を見ていないと思う。なぜなら、彼は今、ロサンゼルスに巨大な博物館を建てるプロジェクトの最終段階で、ものすごく忙しいからなんだ。
でもジョージがドラマシリーズのときに私にくれた、今でも大切にしているアドバイスがある。それは『常に若い観客のことを忘れるな』ということだ。なぜなら、文化における『神話』というものは、常にこれから成人を迎える若い世代に向けて語られるべきものだからだ。年長者たちの知恵や人生のレッスンを、次の若い世代へと受け継いでいく。それこそが『物語』の本質なんだ。ただし、ジョージはこうも言った。『若い観客にその教訓を届けるためには、まず彼らの目を釘付けにするような、最高にエキサイティングな物語にしなければならないぞ』とね(笑)。
そして私が『スター・ウォーズ』から受け取る最大のメッセージは、常に『希望』なんだ。どんなに小さくて、弱そうに見えるキャラクターであっても、一生懸命努力し、ハートを持ち、仲間と協力して訓練を積めば、あの巨大なデス・スターだって破壊することができる(笑)。ジョージは一見、非常に危険で過酷な世界を描いているけれど、その根底にはいつも、とてつもなく巨大な『希望のメッセージ』が込められている。それこそが、彼が私に教えてくれた最も大切なことだし、今回の映画を見てくれた観客の皆さんにも、その情熱と希望がきっと伝わると信じているよ」
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