娘夫婦が家を建てるまでの半年間、わが家で同居することになりました。久しぶりに家の中がにぎやかになり、最初はうれしい気持ちでいっぱいでした。けれど、一緒に暮らし始めると、家族だからこそ見えてくる価値観の違いがあり、戸惑う出来事もありました。中でも、婿が何げなく口にしたひと言は、今でも強く印象に残っています。
何げないひと言に耳を疑った夜
ある日の夕食後、私は台所で後片付けをしていました。すると婿が娘に向かって、笑いながら「お義父さん、定年なんだから家事くらい全部やって当然だよな」と言ったのです。
冗談のつもりだったのかもしれませんが、その言葉を聞いた瞬間、私は耳を疑いました。表面上は笑って受け流したものの、胸の中には何とも言えない引っかかりが残りました。家族とはいえ、そうした考え方を当然のように向けられたことに、複雑な気持ちになったのです。
価値観の違いに戸惑ったものの
後から娘にそれとなく聞いてみると、婿は「家事は年上がやるもの」という実家の価値観の中で育ってきたようでした。私はそこで、悪気があって言ったわけではないのかもしれないと思いました。
とはいえ、そのまま何も言わずに過ごしていては、こちらの気持ちも伝わらず、お互いのためにもならない気がしました。家族だからこそ、こうした違和感を曖昧にしたままにしてはいけないのではないか。そう思うようになりました。

