体がくしゃみを勢い良く出すのは何から守るため?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「くしゃみが勢い良く出る」のはどうして?勢い良く出る人の特徴も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
くしゃみが勢い良く出る仕組み

くしゃみ反射は、環境からの刺激に対する反応です。くしゃみで放出される飛沫の平均速度は秒速2〜5.4m程度という報告もあります。
ここでは、くしゃみが勢いよく出る仕組みや、その理由について解説します。
くしゃみは「防御反射」のひとつ
くしゃみは、鼻の中に入った異物や刺激物を体の外へ排出するために起こる生理的な反射です。ほこりや花粉、ウイルス、冷たい空気などが鼻粘膜を刺激すると、その情報が三叉神経を介して脳に伝わり、「異物を外に出せ」という指令が出されます。この指令により、呼吸筋や顔面の筋肉が一斉に働き、勢いのあるくしゃみが起こります。
つまり、くしゃみの勢いがすごいのは、体を守るために必要な反応ともいえます。
空気を一気に吐き出す構造がある
くしゃみでは、まず大きく息を吸い込み、その後、声門(のどの奥)が一瞬閉じます。その直後に声門が急激に開き、肺の中の空気が鼻と口から一気に放出されます。このとき、秒速数十メートルにもなる空気の流れが生じるとされており、これが「勢い良く出る」「すごい音がする」と感じる理由です。
空気の圧力が高いほど、くしゃみの勢いも強くなります。
刺激に対する過敏な反応
鼻粘膜に炎症がある場合や、鼻水・鼻づまりがある場合には、刺激に対して反応が過敏になりやすくなります。その結果、くしゃみが連続して出たり、1回あたりの勢いが強くなったりすることがあります。
アレルギー性鼻炎や風邪の初期などで「くしゃみがすごい」と感じるのは、このためと考えられます。
自律神経との関係
くしゃみは自律神経とも関係しています。副交感神経が優位な状態では、鼻粘膜の血管が拡張し、刺激に対して反応しやすくなります。起床直後や入浴後、リラックスしているときにくしゃみが出やすいのは、自律神経の影響と考えられます。
体格や肺活量の違い
肺活量が大きい人や、呼吸筋が発達している人では、くしゃみの際に吐き出される空気量も多くなります。そのため、くしゃみの勢いが強く、「音が大きい」「周囲が驚くほどすごい」と感じられることがあります。
体がくしゃみを勢い良く出すのは何から守るため?

さて、くしゃみは何から体を守っているのでしょうか。くしゃみは単なる反射ではなく、呼吸器を外敵から守るための重要な防御反応です。ここでは、体がくしゃみを勢い良く出す主な理由について解説します。
気道・肺を異物・病原体から守る
くしゃみは、鼻腔に侵入した異物(ほこり・花粉・微粒子)や病原体(ウイルス・細菌など)を、勢い良く体外へ排出することで、気道や肺への侵入を防ぐ役割を担います。鼻粘膜は呼吸器の最前線に位置する防御壁であり、異物を感知すると即座に反応します。くしゃみによって異物を早期に排出できれば、気管や肺まで到達するリスクを下げることができます。
鼻腔・呼吸上部の組織を刺激から守る
鼻粘膜や副鼻腔、上気道(鼻腔・咽頭など)は、空気中の刺激物や温度変化に常にさらされています。くしゃみは、これらの組織を刺激物から守るための防御反射のひとつです。刺激物質を早い段階で外へ押し出すことで、粘膜へのダメージや炎症の悪化を防ぎ、鼻やのどの不快症状を軽減する働きがあります。
全身への炎症進展・感染拡大を防ぐ
鼻腔で起こった炎症や感染が、下気道や全身へ広がることを防ぐ意味でも、くしゃみは重要な役割を果たします。勢いのあるくしゃみによって病原体の量を減らすことは、体の免疫反応にかかる負担を軽くすることにつながります。結果として、感染症の重症化や長期化を防ぐ助けになると考えられています。

