肺が苦しいとき、すぐに病院へ行くべき症状はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医がすぐに受診すべき症状と特徴的な病気について解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「肺が苦しい」時の対処法はご存じですか?考えられる病気も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
すぐに病院へ行くべき「肺が苦しい」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
呼吸困難な症状の場合は、呼吸器内科へ
息切れ、胸の圧迫感、呼吸が浅くなる、咳が止まらないなどのように、呼吸困難の症状がみられる場合は、呼吸器内科をすぐに受診しましょう。これらの症状がみられた場合は、気管支喘息や肺炎、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺塞栓症などの病気を発症している可能性があるため、自分で対処することはできず、専門的な治療が必要です。
特に症状が急激に悪化した場合は、無理はせずに、救急車の要請をおこなうことも検討しましょう。
受診・予防の目安となる「肺が苦しい」ときのセルフチェック法
受診・予防の目安で、自分自身にて確認できるチェック法をお伝えします。
・肺が苦しい以外に息切れがある場合
・肺が苦しい以外に胸の圧迫感がある場合
・肺が苦しい以外に咳が止まらない場合
・肺が苦しい以外に発熱がつづく場合
・肺が苦しい以外にゼーゼーなどの呼吸時の異常音がする場合
ここでお伝えした内容に当てはまる場合は、自分自身の対処だけでなく、呼吸器内科を受診しましょう。
「肺が苦しい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「肺が苦しい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
肺癌
肺癌は、肺の細胞が異常に増殖することで発生する悪性腫瘍です。喫煙が最も大きな原因といわれていますが、それ以外にも遺伝的要因や大気汚染、アスベストなどの有害物質の吸入も考えられています。肺がんの治療法としては、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療が一般的です。肺癌は、初期症状が現れにくく、進行してから発見されることが多いため、早期に発見することが重要です。定期的な肺がん検診を受診しましょう。
症状としては、長引く咳、血痰、胸の痛み、息切れ、体重減少などがあるため、これらの症状がみられた場合はすぐに呼吸器内科を受診しましょう。
心不全
心不全は、心臓の機能が低下して十分な量の血液を全身に送り出せなくなる状態のことで、心筋梗塞、弁膜症、不整脈などの心臓病が原因の場合があります。心不全の治療法としては、生活習慣の改善と薬物療法が基本です。心不全の症状としては、息切れ、むくみ、体重増加、食欲不振、腹部膨満感、疲れやすさ、手足の冷えなどがみられます。特に、階段や坂道を上ると息切れが激しくなる、夜間に咳が続く、横になると息苦しくなるといった症状がある場合は、心不全の可能性が高いため、すぐに循環器内科を受診しましょう。
狭心症
狭心症は、心臓に血液を供給する冠動脈が狭くなることで、心臓に十分な血液が行き渡らなくなる病気で、主な発症原因としては、動脈硬化が考えられます。狭心症の治療法としては、生活習慣の改善と薬物療法が基本です。狭心症の症状としては、胸の圧迫感や痛み、息切れ、冷や汗などがみられるため、これらの症状がみられた場合は、循環器内科をすぐに受診しましょう。
貧血
貧血は、血液中の赤血球の中の酸素を運搬する役割をもつヘモグロビンの量が不足して、全身に十分な酸素が送られない状態のことです。主な発症原因として、鉄分不足が最も多くみられますが、それ以外でも、栄養不足や消化管出血などが原因の場合もあります。そのため、貧血の治療法としては、どの原因によって貧血が生じているのかを特定して、治療をおこないます。
貧血の症状としては、疲れやすさ、めまい、息切れ、動悸、顔色の悪さ、頭痛などがあるため、これらの症状がみられる場合は、早めに内科や血液内科を受診しましょう。貧血は重症になると、心不全などの重篤な症状が出ることもあり注意が必要です。
神経筋疾患
神経筋疾患は、脳、脊髄、末梢神経、または筋肉自体の異常によって運動障害を引き起こす病気の総称で、代表的な疾患として、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ギラン・バレー症候群、筋ジストロフィーなどがあります。これらの疾患は、遺伝的要因、自己免疫反応、神経の変性など、さまざまな原因で発症します。
神経筋疾患の症状としては、筋力低下、しびれ、めまい、歩行困難、ふらつき、しゃべりにくい、物が二重に見えるなどの症状があります。また、筋委縮性側索硬化症では呼吸筋にも障害が起こり、人工呼吸器の使用が必要となることもあります。ふらつきやしびれ、身体が動かしにくいなど、少しでも違和感がある場合は、神経内科を受診しましょう。

