「…山本さん?どうして、あなたもここに?」
「少し、折り入って話したいことがありまして」
堂々とした姿勢の山本さん。玄関先で、彼女はきっぱりと言った。
「清掃を欠席した際の、あいさつ回りや物をわたすことを強要するのを、やめてくれませんか」
その迫力に、一瞬、康代さんは怯んだ。
「どうして、あなたに言われなくちゃならないの!」
「私は"婦人会"の会長として、ここに立っています。同じ町内組織のトップとして、意見を言っているんです」
山本さんは、康代さんと同年代の53歳。ずっとこの地元に住んでいて、この町内に嫁いで来た康代さんよりも、土地との付き合いは古い…。
長年、「婦人会」の会長を担っているそうだ。憤慨した康代さんが、彼女に食ってかかる。
「私は会長の妻よ!他の女性たちのために、いろいろおしえてあげているのよ!」
「あなたに強制できる権限はないですよ。物をわたせというのもおかしいですし…。優香さんにいたっては、シングルでうごきづらい立場ですよね。配慮が必要です」
その言葉に、康代さんは反応した。
「そういや…あんたも独り身だったわねえ。シングル同士、べたべたなぐさめ合っているの?くだらない」
人としてどうかと思う発言だ。
自治会長の妻vs婦人会の会長
今まで、康代に対して誰も反論することができませんでした。ですがそのせいで、優香はターゲットにされてしまい、理不尽な要求をされたり、小言を言われ続けていました。そんな中、ようやく山本さんが味方に。そして、凛とした態度で意見を伝えます。
ところが、康代の反論はひどいものでした…。ですが自分で放った言葉が、自分の首を絞めたのです。
あらわれた、最強の助っ人
あ然とした私のよこで、山本さんは冷静に対応した。
「ちなみにもう、自治会長に話は済ませてありますから」
「え?」
今度は、康代さんがあ然とする。実は、もう一人、私はある人物をそばに控えさせていた。
康代さんが、自宅の玄関先で、こうも大きな声で罵倒できるのは、「自治会長」である夫が不在だからだ。でも、実は、事前に山本さんが彼と話をし、この訪問を見守ってもらうことになっていた。
彼は見たはずだ。妻の醜い姿を…。
「お前…こんな風に、近所の人たちに迷惑をかけていたのか」
「あ、あなた…出かけたはずじゃ!」
あわてふためく康代さん。独裁者である「監視の鬼」が、はじめて追い詰められようとしていた。
今まで、康代は夫の前ではおとなしくしていました。ですが今回、化けの皮が剥がれました。妻の醜い姿を目撃した夫は、妻を叱責。
そして、このできごとのあとは…。

