「熱い!」では済まなかった。
サービスエリアで買った「たこ焼き」を頬張ったところ、口の中に激痛が走った。なんと、たこ焼きの中に“返し付きの釣り針”のような異物が入っていた──。
そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
相談者は舌から大量出血し、病院で治療を受けることになりました。ショックはケガだけではありません。
「口に食べ物を入れるのも怖い」。大好きだったはずのたこ焼きが、一転して“トラウマ食”になってしまったというのです。
異物混入というと、「髪の毛が入っていた」程度を想像する人も多いかもしれません。しかし今回は、かなり危険です。しかも“返し付き”。笑い話では済まされません。
●飲食店側にどんな責任が生じる?
飲食店には、客が安全に食べられる商品を提供すべき義務があります。
今回のように、危険な異物によって実際にケガをした場合、治療費や通院費だけでなく、ケースによっては慰謝料などが認められる可能性もあります。
この場合の慰謝料は、「怖い思いをした」という抽象的な不快感というより、ケガによる痛みや、その後に「食べるのが怖くなった」といった精神的苦痛を含む“身体損害に伴う慰謝料”として問題になるイメージです。
さらに、こうしたケースでは「PL法(製造物責任法)」という法律も関係してきます。
少し難しい名前ですが、ざっくり言えば、「危険な欠陥商品によってケガをした場合、製造業者などが責任を負うことがある」というルールです。食品も対象になります。
たとえば、本来入っているはずのない金属片やガラス片が混入していた場合、「通常備えているべき安全性を欠いている」と判断される可能性があります。
たこ焼きに釣り針が入っていたとなれば、「それは想定外すぎる」という話になりそうです。
PL法の責任主体になるのは、基本的には製造業者や加工業者などです。
そのため、店内でたこ焼きを調理して販売していた場合は店舗側が対象になる可能性がありますが、完成品を仕入れて販売していただけなら、仕入元や製造元の責任が問題になるケースも考えられます。
PL法の特徴は「店員がミスした」といった過失を細かく証明できなくても、商品に欠陥があり、その結果としてケガをしたと認められれば、責任追及が可能になる場合がある点です。
もっとも、被害者側には、「商品に欠陥があったこと」や「その欠陥によってケガをしたこと」の立証は必要になります。
●「どこで混入したか」が重要に
ただし、実際には「どこで混入したのか」は重要になります。
調理中なのか、仕入れ段階なのか、それとも別の可能性なのか。店側としても、かなり慎重に調査する部分でしょう。
また、今回の相談では「食べること自体が怖い」という精神的ショックも大きいようです。こうした精神的苦痛についても、通院状況や診断書などによっては、損害として考慮される可能性があります。
こうしたトラブルに遭った場合は、異物を捨てず、写真を撮り、レシートや診断書を残しておくことが重要です。「まさか自分が」と思っても、後から経緯を説明する材料になります。

