●“唯一の固定ファン”が原因で終了
視聴者数自体は決して多くなかった。
しかし、その“唯一の固定ファン”の存在が、逆に配信継続を難しくしたという。
「配信を開くたびに“求婚してる人がいる”状態になってしまって、新規視聴者が入りづらい空気になっていたと思います」
さらに、配信を休むと「なんで昨日やらなかったのか」と責められることもあった。
「彼がどこまで本気だったのかはわかりません。でも、だんだん執着っぽくなってきて、これはもう無理だなと思いました」
開発に5カ月かかったが、配信は1カ月もたたずに終了した。
●IQ200で人間を小馬鹿にする「くまのプーさん」
男性はその後、新たなAI VTuberの開発にも挑戦した。
モチーフにしたのは、あの「くまのプーさん」だった。2022年にプーさんの原作が著作権保護期間が終了し、パブリックドメインになったことに着目したという。
ただ、そのキャラクター性は、一般的な“かわいいぷーさん”とは大きく異なっていた。
「AIって、人間を全肯定する方向に寄りがちなんです。でも逆に、人間をちょっと小馬鹿にしてくるAIのほうが面白いんじゃないかと思いました」
そこで作ったのが、「引退してやさぐれたプーさん」だった。
「IQ200」という設定で、人間を少し皮肉りながら人生相談に乗るキャラクターだったという。
「一回、相手をちょっとけなしてから、“でもこうしたらいいんじゃない?”ってアドバイスする感じでした」
開発は順調だった。しかし、男性はふと疑問を抱く。本当に著作権は切れているのか──。
実は、プーさんをめぐっては事情が複雑で、ディズニー版アニメの著作権はいまも保護期間中だった。

