世界各国から乗客が集まるクルーズ船「MVホンディウス号」でハンタウイルスへの集団感染が発生しました。5月7日までに8例の感染が確認され、3人が死亡しています。この事態を受け、WHO(世界保健機関)が調査に乗り出しました。詳細を小幡先生に伺いました。

監修医師:
小幡 史明(医師)
自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科
WHOが発表した内容とは?
編集部
WHOが発表した内容を教えてください。
小幡先生
WHOのテドロス事務局長は2026年5月7日、クルーズ船「MVホンディウス号」で発生したハンタウイルスの集団感染について報道関係者向けに説明を行いました。同時点までに8例が報告、うち5例でハンタウイルス感染が確認され、3人が死亡しています。原因となっているアンデスウイルスは、ハンタウイルスの中では例外的に人から人への限定的な感染が報告されている種類です。ただし、通常は密接かつ長時間の接触が関与するとされ、一般的な接触で広く感染拡大するものではありません。
テドロス事務局長は「深刻な事態ではあるが、公衆衛生上のリスクは低いと評価している」と述べた一方で、「潜伏期間を踏まえると今後さらに感染者が増える可能性はある」とも指摘しました。
WHOは感染者への適切な治療の提供、船内に残る乗客の安全確保、ウイルスの拡散防止を最優先に掲げています。
ハンタウイルスとは?
編集部
ハンタウイルスについて教えてください。
小幡先生
ハンタウイルスは、ネズミなどのげっ歯類が保有するウイルスです。感染した動物の糞や尿に触れたり、それらを含むホコリを吸い込んだりすることで人に感染します。感染後は主に「腎症候性出血熱」と「ハンタウイルス肺症候群」という2つの病気を引き起こします。腎症候性出血熱は発熱や腎臓の機能障害が特徴的な症状で、重症の場合は死亡することもあります。また、ハンタウイルス肺症候群は呼吸困難を伴う重篤な疾患で、死亡率は約40%とされています。いずれも特効薬はなく、症状を和らげる治療が中心です。
げっ歯類との不要な接触を避け、糞尿による汚染があった場合は漂白剤で処理するなど、日頃から感染リスクを減らす行動を心がけましょう。

