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「COPD」の“症状”を客観視!息切れの進行度がわかる「5つの段階」【医師監修】

「COPD」の“症状”を客観視!息切れの進行度がわかる「5つの段階」【医師監修】

「最近、階段を上ると以前より息が切れる」と感じることはないでしょうか?COPDによる息切れは、体が急に多くの酸素を必要とする場面で顕著に現れます。この記事では、なぜ階段での息切れがCOPDのサインになるのか、また正常な息切れとの違いをどのように判断すればよいかについて、MRC息切れスケールも交えながら詳しくご紹介します。

松本 学

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)

兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。

階段での息切れがCOPDのサインになる理由

日常生活の中で誰もが経験する息切れですが、COPDによる息切れには特有の背景と特徴があります。特に「階段を上るときの息切れ」は、病気の存在を示す重要な初期サインであることが多いため、その意味を正しく理解し、見過ごさないことが大切です。

なぜ階段で息切れが起きるのか

階段を上るという動作は、平地を歩くよりも短時間で多くの筋肉を使い、多くのエネルギーと酸素を必要とします。健康な方であれば、身体の要求に応じて呼吸の回数や深さを増やし、肺が素早く対応して必要な酸素を全身に届けることができます。しかしCOPDがある場合、気道が狭くなっているため一度に吸い込める空気の量が減り、さらに肺胞が壊れているため取り込んだ空気から酸素を効率よく血液中に渡すことができません。結果として、身体の酸素需要に供給が追いつかず、少し動いただけで息苦しさ、すなわち息切れが生じてしまうのです。

この状態は、細いストローで呼吸しながら全力疾走しようとするようなものです。普段のゆっくりした動作では気にならなくても、体が急に多くの酸素を求める場面になると、肺の「予備能力のなさ」がはっきりと現れます。COPDの初期段階では、安静にしているときは特に息苦しさを感じないことも多く、「坂道を上るときだけ」「重い荷物を持ったときだけ」といった特定の状況での息切れが、診断の最初のきっかけになるケースも少なくありません。

正常な息切れとCOPDによる息切れの違い

激しい運動後や急いで坂道を駆け上がったあとに息が切れるのは、誰にでもある正常な生理的反応です。重要なのは、その息切れが「以前と比べてどうか」「同年代の人と比べてどうか」という視点です。COPDが疑われる息切れには、以下のような特徴が見られます。

・以前はなんともなかった日常的な動作(階段の上り下り、買い物での荷物運び、軽い掃除、入浴など)で息切れを感じるようになった。
・息切れが一度始まると、回復するまでに以前より時間がかかるようになった。
・同年代の友人や家族と一緒に歩いていると、自分だけが遅れがちになり、息苦しさで立ち止まることがある。
・息切れが辛いため、無意識のうちに階段を避けてエレベーターを使ったり、外出を控えたりするようになった。

こうした変化は数年かけて非常にゆっくりと進むため、本人も気づきにくく、「年だから仕方ない」「体力が落ちただけ」と片づけられがちです。しかし、これらのサインが一つでも当てはまる場合は、単なる加齢現象ではなく、呼吸機能の低下を疑って専門機関に相談することが大切です。

息切れの進行段階:MRC息切れスケールで理解する

COPDによる息切れの程度は、患者さん一人ひとりによって大きく異なります。医療現場では、この主観的な「息切れ」という症状を客観的に評価し、重症度を把握するための指標が用いられています。その代表的なものがMRC息切れスケールです。

MRC息切れスケールとは

MRC息切れスケール(英国医学研究審議会が定めた評価基準)は、日常生活のどのような場面で息切れを感じるかによって、その程度をグレード0から4までの5段階で評価する、国際的に広く用いられている質問票です。ご自身の状態がどの段階に当てはまるか、確認してみましょう。

・グレード0:激しい運動をしたときだけ息切れを感じる
・グレード1:急いで歩いたり、緩やかな坂を上ったりしたときに息切れを感じる
・グレード2:息切れのために同年代の方より歩くのが遅い、または平地を自分のペースで歩いているときでも息切れのために立ち止まる必要がある
・グレード3:100mほど歩くか、数分平地を歩くと息切れで立ち止まる
・グレード4:息切れがひどくて外出できない、または着替えのような日常動作でも息切れを感じる

COPDの初期段階ではグレード1〜2に相当することが多く、「同年代の人についていけない」「駅の階段を上ると途中で休みたくなる」といった自覚症状から始まります。このスケールは、医師が病状を把握するだけでなく、患者さん自身が自分の状態を客観的に認識し、治療の効果を評価する上でも役立ちます。

息切れを放置するとどうなるか

息切れが続くと、患者さんは息苦しさを恐れて、自然と身体を動かすことを避けるようになります。しかし、活動量が減ると全身の筋力、特に足の筋肉が衰え、心肺機能も低下します。その結果、さらに少し動いただけでも息切れしやすくなるという「症状の悪循環」に陥ることがあります。この悪循環は、生活の範囲を狭め、社会的な孤立やうつ状態につながることも少なくありません。COPDの病状が進むほど呼吸機能の低下は避けられませんが、早い段階で医師に相談し、薬物療法や呼吸リハビリテーションなどの適切な対処を開始することで、この悪循環を断ち切り、日常生活の質(QOL)を高く保つことが可能です。息切れを「たいしたことない」と見過ごさないようにしましょう。

配信元: Medical DOC

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