脳トレ四択クイズ | Merkystyle
認知症高齢者の日常生活自立度|ランクの見方や判定基準、介護への影響を解説

認知症高齢者の日常生活自立度|ランクの見方や判定基準、介護への影響を解説

認知症のある高齢の方を支える場面では、もの忘れの程度だけでなく、日常生活にどのくらい支障が出ているのかを把握することが大切です。そのときに用いられる指標のひとつが、認知症高齢者の日常生活自立度です。これは、意思疎通の難しさや認知症に伴う症状・行動が生活にどの程度影響しているかを整理するためのもので、介護の現場では要介護認定やケアプランの作成、施設利用の検討など、さまざまな場面で活用されています。認知症の状態は同じように見えても、生活の困りごとや必要な支援の内容は人によって異なります。この記事では、認知症高齢者の日常生活自立度の意味や各ランクの目安、判定の基準、介護への影響について解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)

・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

認知症高齢者の日常生活自立度とは

認知症高齢者の日常生活自立度とは

認知症高齢者の日常生活自立度とは、認知症のある高齢の方について、日常生活にどの程度支障が出ているかを段階的に把握するための指標です。意思疎通の難しさや、認知症に伴う症状・行動が生活に与える影響に着目して判定するもので、介護や支援の必要性を整理する場面で広く用いられています。身体機能を中心にみる障害高齢者の日常生活自立度とは評価の視点が異なり、認知症による生活上の困りごとを把握するための指標として位置付けられています。

制度の概要と目的

認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症のある高齢の方に対して適切な対応をとれるよう、保健、医療、福祉の現場で客観的かつ短時間に判定することを目的として作成された基準です。判定では、認知症そのものの診断名や重症度だけでなく、実際の生活のなかでどのような支障が出ているかをみます。

評価の中心になるのは、意思疎通の程度、見られる症状や行動、そしてそれによって介護がどの程度必要になっているかという点です。

ランクは、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Mを基本としており、ⅡとⅢにはそれぞれaとbの区分があります。例えば、家庭外で道に迷う、買い物や金銭管理のミスが増える、服薬管理ができない、徘徊や失禁、大声などの症状・行動が見られるといった具体的な生活場面が判断材料として用いられます。

どのような場面で使われる?

認知症高齢者の日常生活自立度は、介護保険サービスに関わるさまざまな場面で使われます。要介護認定では、主治医意見書や認定調査に関連する情報として扱われ、本人の状態像を把握する材料のひとつです。実際に、主治医意見書の記入にあたっても、認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準が参考資料として示されています。

また、ケアプランの作成やサービス担当者会議、施設入所の検討などでも、認知症による生活上の支障を共有するための情報として活用されます。例えば、見守り中心で対応できる段階なのか、日中あるいは夜間に介護が必要な状態なのか、常に目が離せない状態なのかを整理することで、必要な支援内容を考えやすくなります。認知症高齢者の日常生活自立度は、介護サービスの可否を単独で決める指標ではありませんが、支援の方向性を考えるうえで重要な手がかりになります。

障害高齢者の日常生活自立度との違い

障害高齢者の日常生活自立度と認知症高齢者の日常生活自立度は、どちらも高齢の方の状態を把握するための指標ですが、評価している内容が異なります。障害高齢者の日常生活自立度は、主に移動や起き上がりなどの身体面の状態に着目し、生活自立、準寝たきり、寝たきりといった観点から評価します。判定では、能力そのものではなく、特に移動に関わる状態像をみることが重視されています。

一方、認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症による意思疎通の困難さや症状・行動が、日常生活にどの程度影響しているかをみる指標です。つまり、前者は身体機能や移動能力を中心に把握するためのもの、後者は認知機能や行動面による生活上の支障を把握するためのものといえます。介護の現場では、この2つをあわせてみることで、身体面と認知面の両方から本人の状態を理解しやすくなります。

認知症高齢者の日常生活自立度|ランク一覧と状態の目安

認知症高齢者の日常生活自立度|ランク一覧と状態の目安

認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症による症状や行動が日常生活にどの程度影響しているかを整理するための指標です。ランクが上がるほど見守りや介助の必要性が高くなり、生活の場面でも支援の比重が大きくなります。実際には、家庭のなかでは保てていても外出先で支障が目立つ場合や、日中と夜間で必要な支援が異なる場合もあります。そのため、この指標では、単に認知症の診断の有無だけではなく、生活のなかでどのような困りごとが生じているかをみることが大切です。ここでは、各ランクごとの状態の目安を解説します。

ランクⅠ・Ⅱ

ランクⅠは、認知症があっても日常生活はほぼ自立している状態です。家庭内や社会生活のなかで大きな支障は目立たず、見守りや介助がなくても過ごせる場面が多くなります。ただし、物忘れや判断の揺らぎがみられることはあり、周囲が気付いていないだけで初期の変化が出ていることもあります。

ランクⅡは、日常生活に支障をきたす症状や行動、意思疎通の難しさがみられるものの、誰かが注意していれば自立できる状態です。ひとりで過ごせる時間はあっても、放っておくと失敗や混乱が起こりやすくなる段階であり、見守りの必要性が出てきます。まだ全面的な介助が必要なわけではありませんが、生活の安全性を保つために周囲の関わりが重要です。

ランクⅡa・Ⅱb

ランクⅡaは、ランクⅡの状態が家庭外で目立つ場合です。例えば、外出先で道に迷う、買い物や金銭管理で失敗する、予定どおりに行動できないなど、家庭の外で困りごとが出やすくなります。家庭内ではある程度落ち着いて過ごせることも多いため、家族からは「まだ大丈夫そうに見える」と感じられる一方で、外では支援が必要になることがあります。

ランクⅡbは、ランクⅡの状態が家庭内でもみられる場合です。服薬管理が難しい、火の始末や戸締まりが不安、同じことを何度も尋ねる、日常の手順がうまく進まないといった支障が家庭内でも目立つようになります。この段階になると、家のなかでも見守りや声かけが必要な場面が増え、家族の負担も大きくなりやすくなります。

ランクⅢ・Ⅲa・Ⅲb

ランクⅢは、日常生活に支障をきたす症状や行動、意思疎通の難しさがみられ、介護を必要とする状態です。見守りだけでは対応が難しくなり、実際の介助や具体的な支援が必要になる段階です。認知症による影響がはっきり日常生活に及んでおり、家族だけで支える負担も大きくなります。

ランクⅢaは、その状態が日中を中心にみられる場合です。例えば、日中に落ち着きがなくなる、徘徊がみられる、失禁や大声、介護への抵抗などが出やすく、日中の生活に強い支障が生じます。昼間の見守りや介助が特に重要になる状態です。

ランクⅢbは、その状態が夜間を中心にみられる場合です。夜間の不穏、昼夜逆転、夜中の徘徊、落ち着かなさなどが目立ち、家族の睡眠や生活に大きな影響を与えることがあります。夜の支援負担が高くなり、自宅での介護継続が難しくなるきっかけにもなりやすい段階です。

ランクⅣ・M

ランクⅣは、日常生活に支障をきたす症状や行動、意思疎通の難しさが頻繁にみられ、常に介護を必要とする状態です。認知症による影響がかなり強く、生活全般にわたって継続的な支援が必要です。見守りだけでは難しく、食事、排泄、移動、着替えなどの場面でも介護が深く関わることが多くなります。

ランクMは、著しい精神症状や問題行動、重篤な身体疾患がみられ、専門医療を必要とする状態です。せん妄、妄想、激しい興奮、自傷・他害のおそれなどがあり、通常の介護だけでは対応が難しい場面が含まれます。この段階では、介護の視点だけでなく、医療的な評価と対応が重要です。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。