プロ野球・巨人の阿部慎之助監督が、長女に対する暴行容疑で現行犯逮捕された──。大手メディアで報じられて、ネットを駆けめぐったニュースだ。
その後、「阿部容疑者は警視庁渋谷署で勾留」との報道が出たことなどから、SNSでは「交流戦前に勾留(こうりゅう)された」などと言葉遊びまで始まった。
阿部さんはすでに釈放されて、監督辞任に至っている。法曹関係者によると、阿部さんは不起訴や微罪処分に終わるとの見方が強い。
ただ、この「勾留」という表現には、法的に見ると疑問も残る。はたして、阿部さんは本当に「勾留」されていたのだろうか。
●「逮捕」と「勾留」は別の手続き
共同通信は、捜査関係者の話として、阿部さんが「警視庁渋谷署で勾留されている」と報じた(5月25日午後11時41分配信)。
釈放前のことだが、刑事手続きにおける「勾留」の意味をご存知だろうか。
一般に、警察が被疑者を逮捕した場合、被疑者の身体拘束から48時間以内に検察へ送致する必要がある。
さらに検察官は、送検を受けてから24時間以内、かつ身柄拘束から72時間以内に裁判官へ「勾留請求」するかどうかを判断する。
裁判官は、被疑事件を告げて本人の言い分を聞く、いわゆる「勾留質問」の手続きを経て、「勾留」を認めるか判断する。
「勾留」が認められると、原則10日間の身柄拘束となり、やむを得ない事情があればさらに最大10日延長されることもある。
つまり、「逮捕された=勾留された」ではない。
●阿部さんは逮捕から数時間で釈放されている
テレビ朝日などによると、阿部さんは5月25日午後8時前に逮捕され、翌26日午前0時過ぎに釈放されたという。
時間経過からみても、検察送致や裁判官による勾留決定まで進んだとは考えにくい。一般論としては「勾留されていた」とみるのは難しそうだ。
実際、法曹関係者からも、SNSでこの表現を疑問視する声が上がっている。

